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真っ赤な真実12

司は、目を瞑って西田の報告を聞いている。

ここは道明寺ホールディングスの東京支社内の社長室。

恐ろしく磨き上げられたデスクテーブルに両肘を付き、手のひらを額の前で組んでいる。

時折、空になったコーヒーカップをじっと見つめたり、手に取り眺めている。



司様にどこまでお伝えするべきか?

あのプールを使用したようだ。
その事はお伝えした。

新庄は上手く説得し、使用を止めさせる事が出来なかった。

もしくは、わざと使わせるように仕向けた?
それも、考えられないこともない。
わからない。

いずれにせよ、恐れていたことが起きた。
この事だけは、今はお伝え出来ない。

お子様が危険な目に合ったことだ。
しかも、使用人が何人もいる中で堂々と行っている。

確実な証拠があるから、言い逃れは出来ない。

だが、あと一歩わからない事がある。

あと、一歩…。



「誰がどの程度、あの女に入れ込んで、協力しているのか把握しなければなりません」

「山崎みてぇな男がいるってのか?」

その言葉に少しだけ憐れみの心を含くませた。

「恐らく。しかもそれが故意なのか、ただ利用されているだけなのか見極めないとです。危険物質は徹底して排除しないとですから」

「山崎もご苦労なこった。まっ、寡黙な男だから適任なんだろうな」

「まさか、自分に矛先を向けてくるとは思ってもみなかったそうですよ」

「だろうな…」

あの女、本物の馬鹿なのか、それとも緻密な計画性があるのか…。


変わった女だ…。


クックックッ…

そう俺に思わせるなんて滅多な事じゃねぇ…。
そう思ったら笑いが込み上げてきた。


惜しい女だ…。


フッ、フッ、クックックッ…

声を押し殺して笑っていると、デスクの上に置いてある、プライベート用の携帯電話が鳴り響いた。

「つくし様ならお出になりませんように」

西田は、携帯電話を手にした司に、急かさず釘を刺した。

今、つくし様のお声を聞いたら、司様は飛んで帰ってしまう…。

ご自身でも十分に分かっておられるか…。

「…。分かってるよ。…姉ちゃんだ。出るぞ」

「どうぞ」

携帯電話を耳に当てた司は、座っている椅子をくるっと回転させて西田に背を向けた。

「あぁ、姉ちゃん。どうした?」

「…。何とか誤魔化せよ。…。タマにはつくしは落ち着いてきているから、頃合いをみて、つくしから連絡させるとか言っておけばいいだろ?
ナンダヨ?アッ?わかったよ…。」

『なんだとは、何よ?!!』

受話器からつんざくような怒鳴り声が響く。

「ウッセェ…。何でもねぇよ。西田がスピーカーにしろと横でゴチャゴチャとうっせぇから、その事で…」

『だったら、そう言いなさいよ!!』

司は携帯電話を手のひらで覆ってから、西田を思いっきり睨み付ける。
「スピーカーにする意味、ねぇだろうが?」

「…いえ、決して、そんな事は…」

西田が言い終わらないうちに、携帯電話から椿の声が鳴り響く。

『西田さん?近くにいるの?元気にしていた?!』

「私は頗る調子がいいですよ」
西田が俺の横でそう返した。

『それは良かったわ。ところで、つくしちゃんの事だけど、タマさんが妙な事を言ってるのよ…』

「妙な事?」

『ご飯の時に毒味をしていたとか、何とか。それって、本当なの?』

俺と西田は無言で顔を見合わせた。

「この間のパーティーで目眩と吐き気で酷かっただろうが?あれで、タマが自主的にやってたんだよ。うちのシェフたちが何かを盛るなんて、そんな事する輩がいるか?」

『それもそうよね…』

タマは、何かしらを食べ物に入れられたのではと、俺に訴えてきた。

鋭い勘は、婆さんになっても衰えてねぇ。

実際に診察に当たった医師は、何らかの薬物の影響も考えた方が良いと伝えてきた。

疲れや熱中症ならば、尿酸値やケトン体の値が一時的に高くなることがあるそうだが、そういった事がなかったのだ。

『奥さまは、睡眠薬等を常時服用されてますか?』
医師がそう俺に告げてきた。

今は、小宮たち、つくしの警護者が内緒で毒味をしている。
それなのに、この間、俺がいないディナーで早速つくしの異変が起きた。

厨房内部で、妙な動きを見せている人間はいないとのことだ。

パーティーでの後すぐに、あきらのとこの者を入り込ませている。
サンプルを採取して、鑑定をしているが、問題ないとのこと。
(警察には話せねぇからな)


つくしが作ったものは除外しているがな。


『道明寺家のシェフたちにそんな事をする人はいないわよね?』

「あぁ、そうだな…」

『毒味だなんて…。穏やかなじゃないわよ。それに、食事の合間にも出来るの?』

「食事の合間?」

『えぇ、最近はバナーで溶かしてから食べるとかあるじゃない?中に何かが入っていて、後で溶かすみたいな』


後で、溶ける?


そんな食べ物出てきたか?






ノックの音がした。


斎藤が中に入って来て、西田に耳打ちする。


あんな西田の顔は初めて見た。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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