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真っ赤な真実9

煩く、暑かった庭から、涼しい邸の中に入る。
邸の全体を空調が効いていて、外から戻るとスッとする。
道明寺邸は、勿論と云うか、廊下や厨房の細部まで、空調が効いている。

あぁ~、身体が生き返る。

ずっと太陽に曝されていたのだから、たまったもんじゃない。

捲っていたブラウスの袖を下げる。

『暑いので、30分置き位には交代して下さいね』
等と言ってくれるが、そんな事は出来るわけがない。

何故って?

いつ、何時(なんどき)危険な時間帯が出来るのか、注視してなければならないから。

『あなた自身がわたしと交代してくれても大丈夫ですよ』
そう言いたいのをグッと堪える。

暑い中、頑張ったお陰で危険な状況を作り、回避することが出来た。

あんな危険なプールに、よくもまぁ大事なあの人の子供を野放しで遊ばせているかと思うとゾッとする。

焼却処分にするというのを、無理矢理止めさせて使用した結果がこれだ。

危機管理能力がまるで無いのだから…。


ダメな女だと思われてしまえばいいんだわ。
そうよね。
きっと思われるに違いないわ。


後ろを振り返って、先程までいた邸の庭を見つめる。



「あら?どうされたの?誰か付いている方はいるの?」

邸の廊下を水着姿で歩いてくる女たちに声を掛けられる。

「奥様方も居られますでしょ?私も少し休憩を取ろうかと」

「そうよね。太陽をテントで遮っていても暑いことには違いないものね?折角だから、貴女も水着になって一緒に遊べば良かったのに」

「……」

軽く会釈をして通り過ぎる。

男性に見せる訳でもないのに、ビキニにラッシュガードを羽織っている人たち。

リゾート施設か何かと間違っているに違いない。

折角だから?
一体子供と何をして遊ぶというの?

私が歩き始めると、後ろから水着を着たシッターが走ってきて、先程の集団と合流する。
「ねぇ、聞いてよ…。あの人さ…」
私の方を見て話始める。
「嘘っ?だってあの人、プールを見ながら笑っていたのよ?」


皆、いつもそうよ。
人のせいにしておくのが好き。
自分が目を離した事が悪いんじゃないの?
何を言ってるのかしら?


クスクス
クスッ、クスクス

思わず笑ってしまった。


あぁ、もう少しでお昼ね。

楽しみだわ…。



「奥様とご友人が凄く飲み物を喜んで居られましたよ。氷は溶けるだけになるけど、これだと食べられるし、キチンと冷やしてくれるしとおっしゃてましたよ」

今日飲んでいるコーヒーは凍らせたライムやイチゴを氷の代わりに入れたり、砕いたりしてフレーバーとしてもまた見た目にもおしゃれにして出している。

厨房に行くと、パティシエがいたのでそう伝える。

何人かいるうちの一人。
名前は高野。
下の名前は知らない。

私の言葉に、
「本当ですか?嬉しいな…。コーヒーだけじゃなく、紅茶なんかと違う組み合わせも試して頂きたいな…」
そう話始めた。

何て素晴らしい発想をするのかしら?

ますます笑いが込み上げて込み上げてくる。

「そうしましょ。いろんなものを組合わせてみると思わぬ効果が出てくるかも知れませんし。ねぇ?山崎さん」

邸に入る辺りから、少し後ろから付添いのようにしてくれる山崎さんに、話を振ってみる。

「山崎さんも一緒に選んで頂けますか?」
パティシエの言葉を受けた山崎さんは、少しだけ困惑していた。

「奥様に大変な好評でしたのよ。山崎さんがチョイスしたとお伝えしたら、きっと驚きになるでしょう?」

「それは、そうですが…」

折角笑顔を作り、彼に言ったのに、乗り気ではないらしい。

「山崎さん、お願いします。新しい組合わせは、以外と素人が提案してくれるものなんですよ」

真剣な眼差しで山崎さんに訴えている。

「高野さん…」

暫くして、観念したのだろう。
『では、これだとどうでしょう?』と二人で話を始める。



暫くすると、私たちの、この和やかな雰囲気をぶち壊してくれる人が中に入ってきた。

先程のビキニの集団の一人。
みのり様のシッターだ。

入り口付近にいる山崎さんと高野さんに、話しかけている。

ラッシュガードの裾を下に引っ張るようにして立っている。

厨房にビキニ姿で立っているという、この滑稽な図に思わず声を出して笑いそうになる。

笑いを堪えていると、私の存在に気づいたようだ。

私の顔を見ると、ギョッとした表情をした。

「あなた、こんなところで何をしているの?」

「何って、奥様が飲み物を大変喜んでいたから、高野さんにお伝えしていたのよ」

私の言葉に顔を赤くする。

「みのり様に危害を加えておいて、よくもまぁ…」

「奥様のご友人の入れ知恵ね?あの人も困ったお人よね?昔から世間を騒がす事をしてくれるのよ。知らないの?」

ビキニ女のあの顔…。

口が開いたまま閉じれないのかしら?

「そうでしょ?それに、山崎さんが少し離れた所にいらしたのよ?何かあれば、すぐに気付くでしょ?ご友人にもお話しましたのに…」

「あなた、やっぱり少しおかしいわ…」

「そうかしら?あなたこそ、裸のような格好で、ここで何をしているの?おかしいんじゃない?」

私の言葉にハッとした表情を見せる。

場所が厨房なだけに、それぞれが作業服を着ている。
山崎さんは白の半袖のワイシャツに黒のスラックスだ。

「シェフにお食事の支度について話があって…」

また、ラッシュガードの裾を引っ張っぱるようにしている。
よほど、居心地が悪いのだろう。

高野さんが、気を効かせてシェフを呼んできた。




ビキニ女が立ち去ると、
「女性はいろいろと、大変ですね…」
高野がボソッと呟いた。

「そうですよ。自分の行動と異なる事をするとすぐに叩こうとするし、先程もみのり様の件でシッターの人たちが私を睨んで来たんですよ?自分達が目を離したのを棚にあげて」

私の言葉に高野は、
「俺ら、男で良かったですね」
そう言って、山崎さんに同意を求めている。



恐ろしい生き物ですよね。



女という生き物は。



寡黙な山崎さんが私をじっと見て呟いた。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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