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真っ赤な真実5

「つくし、このタマがいない間、変なものを口にするんじゃないよ」

「大丈夫ですよ。タマさん…。子供じゃないんですから…」

大きな声できっぱりと言い切れないのが何とも…。

「分かるもんかい。お前さんは自分の限界を弁えてないからね…」

そう言われて、つくしは首を竦める。

まぁ、昨日の今日だから仕方がないか…。
(別に変な物を食べた覚えはないけどさ…)

昨日の夕飯時は頭が朦朧としたのと、吐き気が襲ったのよね…。

吐かなかったけど。

タマさんに知られるのも気が引けるし、何より、司にバレたら、シェフが首を切られるやも知れないし。
みのりの妊娠が判明する前に、少しだけ気分が優れない時期があったの。
今考えれば悪阻なんだけどさ。
シェフを解雇するとかで大揉めしたのよね。

だから、気合いで吐かなかった訳。

美味しく食べた夕飯なのよ?

勿体ないしね。


あたしとタマさんが、ウェルカムルームで話していると、ひいろが声を聞き付けて、パタパタと走ってくる。

「タマさ~ん、"うち"に来てくれたの?ママとこれからは"タマさんのうち"に行こうと思っていたのよ?」

ひいろにもこの邸自体は公共の建物で、プライベートルームが自分の"うち"だと認識されてきた。
牧野の祖父母の家もマンションの中の一角だから、あたしのその解釈は、ある意味すんなりと受け入れられている。

「ひいろお嬢様、ありがとうございます。呉々も知らない人の誘いには乗らないでくださいませ。それと、若奥様を宜しくお願いします」

タマさんは二人きりか、"うちの中"以外では若奥様と呼ぶのよ。

周りの使用人に示しが付かないからと、婚姻届けを出した日からそう呼ぶようになったの。

「任せて!タマさんが安心して椿伯母様のところで夏休みを過ごせるように、ひいろが、ちゃんとママとみぃちゃんを見張っているからね」

両手を腰に当て、軽く頷く。
スッゴく可愛い仕草。

なんだけどさ…。

「なんと、頼もしい…」
って、タマさん?

いやいやいや…。

「ひぃちゃん?何かおかしくない?ママがひぃちゃんとみぃちゃんを守るんでしょ?」

「タマさんは、どっちが頼りがいがあると、思う?」

はあっ?!

「そりゃ…」
タマさんが言葉を発しようとする。

その言葉を遮るように、
「"ひいろ"って、言いたいのは分かりますけど、あたしはひいろの母親ですよね!それに、みのりの母親でもあります。守ります!絶対にこの二人を守りますから!!」

「ママ…、タマさんの腰がいつもの逆になってるよ…」

凄い剣幕で話していたらしい。
それに押されて、仰け反る体制になってしまったようだ。

「お前さん…、あたしの腰を壊す気かい?」

タマさんが、大きく仰け反っていて、こっちがかえってビックリして仰け反った。







「全く、何なんだろうね?自分の出社の時は大層な見送りをさせておいて、あたしの時は無いのかい?」

ブツブツと文句を言っている。

誰に文句を言っているか分かるでしょ?

でも、そんな事を愚痴りたいなんて、本当は思っていないんだよね。

本当はあたしの代わりにボヤいてくれてるだけなんだもん。

だって、『帰って来たのに、何で子供達を抱きしめないんだい?何をやってんだか…』って、ブツブツ言っているもの。

司は昨日、いつの間にか邸に戻り、もう出社したらしいの。

タマさんはあたしがその事を知っていることに、少しだけ驚いているようだった。

タマさんに出掛ける直言まで、気を使わせちゃってるな…。

人前で司の愚痴は言わないようにしている。
だからさ、タマさんは何時も何かあると、あたしの心を代弁してくれる。

『口に出すのが馴れると、何時でも、何処でも愚痴を話すようになる。
誰が、何処で、どんな風に捉えるか分からない。
お気をつけなさい』

あっ、これはお義母様の言葉。

だからさ、良い母親、良い妻になろうと努力してんのよ。
あたしなりさ。
偉いでしょ?
誰も誉めないから、自分で言っちゃうね。

そんなのもあって、ストレスが溜まってくるのかな~?

溜まりそうになったら、直接本人(司)と話し合いをするようにしてんのよ。

黙っているのはあたしの性分じゃないからね。

ちゃんと話をしているんだけどな…。




あたしと別れる時に、タマさんはあたしの耳元で、
「つくし、真からの味方になる人がたくさん居るから、安心しな」
そう言って、あたしの背中を一生懸命擦ってくれた。

「わかってます!この邸にいる皆さんはみんな家族のようだと思ってますから!」

少しだけ不安なこともある。

だけど、そんなものを吹き飛ばすように、明るく言い放ち、あたしはタマさんを送り出した。






昨日は眩しい位の光に包まれていた。



今朝は凄く晴れて、雲一つない。



それだと云うのに、



あたしの周りは少しだけ雲っている気がした。

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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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