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愛する人へ (前編)

お母様

お母様

今度はいつ会えるの?

いい子にしているのですよ

いい子にいていたらすぐにお母様に会えますか?

いい子にしていたら会えますよ



不安そうに母親を見つめる幼子。
手を繋ぎ微笑み合う親子の映像。
母の胸に抱かれ、安心して眠る幼子。


現実のことだったのか、自身の頭の中で産み出した単なる妄想だったのか。

今となってはどうでもいい…








「りーっくん、いい子だよ。りーっくん、りっくんくん。
りーっくん、いい子だよ。りーっくん、お願いね」

つくしが息子を膝の上に座らせて、子守唄のようにあやすように唄っている。

何だ?
あの唄?
何処かで聴いたことがある?


「うわっ、久しぶりに聞いたわ」


俺たちの超プライベートルームに入るなり、キッチンに備えてある冷蔵庫に手をかけ、大きな独り言を言っているのは、長男の開万(かいま)。

俺らのプライベートルームは百八十㎡のエリアの中に簡単な(?)ダイニングとキッチンを備えてある。

つくし曰く、邸の全体は公共の場で、このエリアこそが"家"なんだとか。

因みに洗濯機もある。

で、開万を見ると、煮出した麦を冷やして、専用のボトルに入れてある麦茶を出して、バカラのグラスに注ぎ、角を綺麗にカットされた氷を二つ入れて飲み干した。

また、グラスに麦茶を注ぎ入れながら、
「へこんだり、まぁ、悪いこと?をするとさ、母さんが、あぁやって宥めるんだよ」

そうだった。

子供達のベッドから、時折変な唄が聞こえていたな。

赤ん坊の時も泣き止ませるときに、その唄を歌ってたな。

「大抵は夜の寝る前にすることが多かったよね?あっ、でも、う~ちゃんは"ぞうさん"の替え歌バージョンなんだよね。
お姉ちゃんたちも"ぞうさん"だったって」

そう言いながら、娘のうららは俺譲りのフワフワの長い髪を頭の後で結う。

「はぁ~、ストレッチしたから喉が乾く」と言いながら、バカラのガラスを兄に差し出している。

「自分でやれよ」
「お兄ちゃんが持っているんだから、序でに入れてよ」
押し問答を繰り返して、開万が折れた。
(氷もちゃんと入れてあげてる)

「でも、まぁ、リツが悪いからね」
「そうだな。聞く限りじゃ、リツが悪い」

二人で母親に抱かれている弟を見てそう言いながら、自室への扉に向かって歩みを進めている。
(俺らのプライベートエリアに更に子供部屋が二つ設置されている。つくしと結婚したときに、普通の家のような構造をと望んでそうゆう造りになっている)

一番下の(五番目)の次男の立樹(りつき)は園で七夕の飾り付けの時に、クラスメートが作ったものを壊した。

つくしが、仙台まで出掛けていた為、園から連絡を受けたのは俺。
(正確には、園に迎えに行けるはずもないので、シッターに報告が渡っていた。で、俺がシッターからの報告を受けた)

そのままにしておいたら、
『何で、すぐにわたしにも報告しないわけ?
貴方、仕事なら"ほう・れん・そう"を徹底するでしょ?!』

俺がスゲー怒られた。

ものスゲー怒られた。

シッターを怒れよ…。

それからつくしはラインを確認して、
『はぁ~、喧嘩したママさんからラインが来ていた。あっちゃ~…』
そういうと、一度ギュッと目を閉じた。

読んだあと、ふぅ~と息を吐いて、一呼吸おいて、スマホをタップし始める。

『もしもし、道明寺です。お時間少しよろしいですか?…えぇ、…そうなんですね。いえいえ、こちらこそ、不快な思いをさせてしまって。…えぇ、そう言って頂いてありがたいです。……、はい。こちらこそ、これからも宜しくお願いします』

はぁ~、良かった。そんな小さな独り言が聞こえてきた。
その後、安堵の表情を見せて俺に笑い掛けてきた。

その後に庭でシッターたちとサッカーをしている立樹を部屋に呼び、今に至る。

「ママでもね、俺だけが悪くないんだよ。向こうが、俺の作った輪っかが長いから、ここで切った方がいいって勝手に切ったんだ」
「うん、知っている。さっき向こうのママからラインが入っていて、そう書いてあった」
つくしは立樹を見つめる。

「ほら、だから、お返ししたんだよ…」
立樹はじっとつくしに見つめられて、その場から逃げ出したそうにしている。

「でも、先生はこの長さにしてねって、最初にお約束があったんでしょ?
守らなかったのはりっくんでしょ?」

更にじっと見つめるつくしに、
「でもさ…、グスっ、だからってさ、向こうも俺のを切った…」
立樹はとうとう泣き始めた。

「…うん、りっくんが悲しいのは分かる。でもさ、お友達にも悲しい思いをさせてはいけないと思うよ」

つくしに抱き締められて、またあの唄を聞きながら、だんだんと元気を取り戻したようだ。

「ママ、もう大丈夫」

そう言って、つくしから離れ、サッカーボールを手にして、庭に駆け出した。







「パパ、あのさ、ママは俺が悪い子になってもすぐに来てくれなかったよ」

えっ?

どうゆう事だ?

俺が悪いことをすると、胸が苦しくて、苦しくて仕方がなくなるからね。
帰りたくても、すぐにりっくんの側に行けないでしょ?
行けない間は苦しくて、苦しくて堪らないのよ。
ママがそう言うんだ。

だからね、パパの言ったことは俺とは違うから。

そう言われた。



立樹に尋ねたら、俺は知らず知らずのうちに
『悪いことをすると母親が帰ってくるんだ』そんな風に言っていた事があるらしい。

記憶にない…




最近、また昔の夢を見る。

何だって云うんだ?

いい子にしていたら会えますよ

いつの頃か、それは嘘だと分かった。

悪いことをすると母親が帰ってくる。

そうでもしなけりゃ、会うのは一年に一度だけ。
寂しい?
冗談じゃねぇ。


寂しいなんて思ったことなんて一度もねぇよ…



一度も…





"俺の母親"がこの邸に来ると連絡が入った。




その日は一年に一度だけ大切な思い人に合える日だった。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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