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ひな祭りは麗らかに2

うららは、俺がこのピンクの花の枝を切るのを、腕組みしながら指示してくる。

可愛い…

うららがママが帰ってくる前に、雛人形の前にこの花を飾って、びっくりさせたいと言い出したのだ。

ママが喜ぶ顔を見たいって、つくしそっくりの顔で言ってくるもんだから、断れる訳がねぇ。

スゲー可愛い…

要するに、俺が木を切る係。

使用人たちは遠巻きに、ニコニコしながら見ている。

「パパーー、あっちの枝ーー!」
可愛く、指で合図してくる。

めっちゃ可愛い…

俺が枝を掴むと、親指を立てて、
「パパ、ナ~イス。それそれ、う~ちゃんの言ったことすぐに分かったね~。パパ、さすが~!」
頭の上で大きく手を合わせ、丸を作り、体を揺らしてくる。

めちゃくちゃ可愛い…

「だろ?」

調子に乗ってもう一本切ろうとしたら、
「もう、いいって。それは、指示してないでしょ?ママが帰ってきちゃうよ」
そう言うと、切った枝を使用人に持たせて、スタスタと歩き始めた。

ジャキン

ジャキン

「だ、旦那様…、枝をそこだけ切ってしまっては…」

高切り枝ばさみを地面に突き刺し、
「お前らの休憩室にでも飾っておけ…」

その言葉に使用人は腰を九十度に曲げた。
俺が立ち去るまでその姿勢を続けるようだ。





「可愛い娘には、経済界の魔王も形無しだね~?」

いつの間にか、タマが俺の横で笑っていた。

「うるせー、タマ」
しっかりと笑い返した。



腰がさらに曲がってしまったタマの後ろについて、雛人形が飾ってあるロビーまでゆっくりと歩く。

「今年も手伝ってくれたんだってな」
「奥様がそう言っていらしたんですか?」
「違うのか?」

タマは長女が生まれてから、毎年欠かさずつくしと雛人形を飾ってきた。

もう、二十年間か。

「ここ最近は、口だけ出してますがね」
ニカっと笑うタマに、
「来月は五月人形だからな」
「わかりましたよ。旦那様」
懸命に腰を少しだけ伸ばして、俺を見る。

月日が過ぎるのは嬉しいようで、少し切ない。


「ほら、見てくださいまし…。うららお嬢様が花を生けておいでですよ」
目を潤ませて見ている。

「なぁ、タマ、あれって桜じゃねぇのか?」

俺の言葉に、娘のうららと同じく眉間に皺を寄せ、
「何、言ってんだい!これは、梅の花ですよ!」

デカい声を張り上げて言ったもんだから、うららの周りにいた使用人たちは、笑いたいのを堪えている。

知らなくても、別に困っちゃいねーんだよ!!

大声で言い返したいが、うららが俺たちに気付いて、
「タマさーん、起きてたの?」
手をこっちに振ってくる。



「ねぇ、タマさん、この梅のお花の名前。何だっけ?"乙女"だったかな~?」
「惜しいです。"乙姫"ですよ」
「そうそう、それだーー!!ママが教えてくれたの。ママが帰ってきたら、喜んでくれるかな~?」
「きっと、お喜びになりますよ」

タマの言葉に、胸の前で手を組むうらら。

完全に乙女の顔だ。

「きっとママは、う~ちゃんを一番最初にギュ~ってしてくれるよね?」

そう言って、チラッとこちらを見る。


うららの勝ち誇った顔。



娘と俺はライバル同士だ。



これは、俺のDNAの成せる業なのか?



愛しすぎるのも遺伝すんのか?



うららはずっと一緒に過ごせる。



そう思うのは、違うか?
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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