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リスペクト7


今朝起きたときは、確かに部屋に傘が二本あったんだ。



朝、家を出るとき母さんが、
「今日も暑いわよ。良かったら持って行く?」
俺だけに聞こえるようにコッソリと話してきた。

勿論、いらないときっぱりと断った。

母さんは、ショーに招待された人にしか配られていないのよ。
とか、一人一人微妙にデザインが違う完全オリジナルなのよ。
とか、晴雨兼用タイプなのよ。
等と、とにかくプレミア感を押し出してきた。
(イヤイヤ、だからって持っていきませんから)

朝ごはんの時は、みんなの前では、例の傘には触れなかった。

よくよく考えてみれば、家族の皆が、あの事実を知っていると云う事態そのものが俺にとってはダメージだ。


学校へ向かう時、俺と妹は同じリムジンで送迎される。
同じ英徳学園だし。
弟はまだ、保護者の送り迎えが必要なため、母さんか、父さんと一緒にリムジンへ乗り込む。
(父さんの場合は、母さんの不在の時だけ)

学校へ向かうリムジンの中で、妹に問いただそうと声を掛ける。
「なぁ、おい!」
「ひぃっ」
短くびっくりしたような声が、運転席から聞こえた。
「大丈夫か?」
「坊っちゃん、すみません」
運転手は即座に謝ってきた。

「今のお兄ちゃん、パパと同じく威圧的だったわよ。人に物を尋ねる時は物腰柔らかくよ」
「ヘイヘイ。わかりましたよ」

どうやら、姉たちに話したのは、妹ではないらしい。
『全然、知らなかった。というか、暑いし、勝手にしていることならさせておけば?』
ドライな返答が返ってきた。
初等部の門の前に着いたとき、
『あたしもさせようかな?』
恐ろしい言葉を、ボソッと呟いて車を降りた。

あんな善意の押し売りを快く了承しろと?!

イヤだ…。

絶対にイヤだ!



高校の門前に来ると、ちょっとした人だかりがあった。

類さんだ。

類さんは幼稚舎に子供を送ってきたらしい。
弟と同じ学年の双子の父親。
幼稚舎の送り迎えは、ほぼ類さんだ。
類さんが、校門の前で待っている。

どうしたんだろう?

俺は車を降りて類さんに手を降る。
黄色い歓声が上がり始める。
類さんが、俺の方を向いて、手を降ったら、まわりから更に黄色い歓声が上がる。

女子だけでなく、男子もテンションがあがっているんじゃないのか?

「おはよ。少し見ないうちに、身長が伸びた?」
「おはようございます。お陰さまで、173cmになりましたよ」
にっこり笑いかける。

その瞬間、またもや黄色い悲鳴。
何なんだ?
類さんの影響か?

「そっか~。中二だもんな。成長期だ」
「そうゆう類さんは、幾つになっても人気かありますね?」
「うん?あ~、多分、少し勘違いしているよ」
そう言って、俺に笑い掛ける。

どうゆう事だろう?

周りからは黄色い悲鳴が上がり続け、その事に類さんは「腹が捩れる前に木陰に行こう」そう言って、俺に笑い掛ける。
二人で、顔を見合わせて笑う。

その瞬間周りからは、黄色い悲鳴や溜め息とが混じあった。

類がスッと、傘を差して日に焼けるのをガードする。

ちょっと、それって?!

不意に類さんから傘を差されて、びっくりしてしまった。
間髪入れずに手首を捕まれ、木陰に向かおうとする類さん。
黄色い悲鳴は段々強くなっている。
歩き続けながら、いきなり、ピースをし出したり、手を振ったり。

「何、やってんですか?」

俺が聞くたびに、笑いながらヒィヒィ言っている。

「本当に、困ったときの顔が牧野にそっくり。小動物みたい」
類さんの言葉に思わず、
「はぁ?!何すか?いくら類さんでも、怒りますよ!」

俺の言葉は聞こえてないのだろうか?

ますます、ヒィヒィ言いながら、笑っている。
「本当に凄いよね。牧野から司に変化するんだもんな~!二人の子供だって分かる」

言いながら、笑っているし。

知っている。
この人は、ツボに入ったら死ぬまで笑い続けるだろう。

「ゴメン、ゴメン…。これ、渡そうと思ってさ」

差し出されたのは、先程まで二人で差していた傘。

「あっ?!いらないですよ?!奥さんに差し上げて下さい」
「う~ん、そうなの?ショーの時に楽しい時間を過ごせたお礼なんだけど…」

ふぇ?

類さんは、うちの姉ちゃんズに久しぶりに会えたと、凄く喜んでいた。
姉ちゃんズは類さんが遊びに来ると、何時も取り合って、親父をヤキモキさせていた。

「牧野が、早めに帰国できて良かっだろ?」

もしかして…。

いや、この人はやりかねない。
「あの写真、わざと撮らせたんですか?」
「わざと?いろいろなカメラが入っていたね。よく分かんないけどさ。牧野とは子供たちの話で盛りあがっていたよ。
それと、美味しいドルチェがあるって、言ったら、『ドコ?ドコ?』って、探し回ろうとするから、教えてあげたりしたな…。それが何か?」

そうゆうと、手のひらをヒラヒラさせて、
「今日は俺たち夫婦の記念日なんだ」
そう言って、その場を去った。


あの人は、スマートな顔して、トンでもないことをする。


親父は、まんまと類さんの策に嵌まったわけだ。


スゲー人だ…
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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