FC2ブログ

記事一覧

募る思いは誰に届く7

司と三澤を乗せた高級車は滑るようにエントランスに入り込んだ。

三澤はタブレットから少しだけ目を離し、隣を見た。

ゆったりとした後部座席のシートの隣には眉間に皺を寄せ瞑想をしている男の姿。

三澤はタブレットをパシッと仕舞い込み、瞑想を続けている司をじっと見た。

「旦那様もお嬢様方とご一緒にホーム・メイドのお菓子をお作りになられてはいかがでしょうか?」

三澤の言葉にギョッとしたように目を見開いた後、瞬時に目を細めた司は絞るようにして声を出した。

「…お前、本気で言っているのか?」

声を絞るようにして真剣に問いただしてくる司に三澤もしっかりと目を合わせ答える。

「…奥様のご機嫌をお取りするには良い方法かと?」

そう言って三澤は司の表情を見た。
司は何故か得意気な表情をしている三澤に対して、いっそう訝し気に三澤を見返して言葉を返した。

「俺がどちらかというと苦手な食べ物だぞ?その製作過程を手伝えと?」

「旦那様は好んでは召し上がりませんね。ですが、奥様のお料理の手伝いを"極々"たまにですがされるではありませんか?」

「極々がやたらと強調されているのだが?」

「そうですか?」

司の指摘や威圧感たっぷりの表情も何のその。

三澤は司の言葉で甘いチョコレートと可愛い娘たちに囲まれて、お菓子作りをするこの邸の主の姿を思い描いてた。

「ものっ凄く暖かい家庭を想像しております」

「物凄くねぇ…」

司は先程と同様に何故か得意気な表情をしている三澤を横目に見終えたあと、再度瞑想に入った。








エントランスに到着した司たちを邸の使用人たちが出迎えた。

一人の使用人がスッと三澤に近付き、つくしが起床して子供たちと談笑を始めたようだと報告する。

報告を受けた三澤は司にその旨を伝えた。

「奥様がお目覚めになられたようです。ご子息様たちもお目覚めで皆様で談笑されているとの事です」

「…そうか。わかった」

司は、起床したつくしの様子が穏やかな様子だと聞いてほっと胸を撫で下ろした。

その後、数歩足を進めてから立ち止まり少し考え事を始めた。

「三澤、頼んでおいたシャンパンは用意出来ているな?」

「はい」

「今すぐここに持って来てくれ。"家"に入る時に俺が一緒に持って入る」

「承知しました」

「総二郎の所の抹茶も俺が運んで持っていく。お前は"家"の玄関前までで構わない」

「承知しました」

司の言葉に頭を下げて、手にしている風呂敷包みを再度しっかりと持ち直した。

「三澤。俺はこれが限界だ。一緒にホーム・メイドのお菓子作りなんて、どう考えてもハードルが高すぎる。違うか?」

その言葉に三澤は、小声で『確かに』と呟いてしまっていた。








「司~、こっち見て。ねぇ、早く~」

「…何する気だ?」

「何~?そんな恐い顔しないの。家族の楽しい思い出の1ページを"これ"に収めるだけよ」

つくしはキッチンに立つ司にスマホを向ける。

「ほらほら、貴女たち。パパを真ん中にして作業してくれる?」

「わかったよ~。ママ」

つくしの言葉にうららが答える。

「パパはこっちでお抹茶をね。…こうして…丁寧に振りかけるのよ」

うららが司にパウダーの振りかけ方をレクチャーし始めた。
つい先程、姉のひいろから言われた通りの事を司にそのまま教えている。

ひいろはガトーショコラの生地を混ぜる作業を、みのりはナッツを荒く砕いていた。

「う~ん、いい!ちょっとだけ、ちょっとだけこっちを見てよ。司、お願い!」

司がつくしの掛け声でちらりとつくしの方に顔を向けた。

「…ハイ!撮るよーー!!」








「良かったですわね。お母様が何時ものお母様で」

「本当に」

ひいろとみのりが司を少しばかり咎めるような目で見た。

「そんな顔で見るんじゃねぇ。言っとくが、俺も一応は被害者になるだろが?」

「そうなの?本当に?」

みのりは司に意地悪っぽく言ってのけた。

今、ちょうどキッチンには司とひいろとみのりの三人になった。

本当に何時もと変わらないつくしの言動に、ついつい今朝のドタドタ劇を振り返り、真相を究明したくなる。

「LINEでも送っただろうが。夢の中での俺の行動を非難されてもな。どうにもなんねぇだろう?」

「お父様の言い分をお聞きする限りではそうなのでしょうけどね」

「ママも知らないうちにストレス過多になっていたのかもね。お酒の力で大爆発しちゃった的な?」

「きっとそうなのでしょうけどね…」

ひいろの返しに大きく頷きながら、

「でも、やっぱりパパに非があったのではないのかと思ってしまうんだよね」

みのりはそう言うと、司をちらりと見ながらひいろに同意を求めた。

それに答えるようにひいろは大きく頷いた。

「だからな。何で俺が何時も悪者になる?…納得いかねぇ」

「何でだろ?」

司の言葉にみのりが頭を捻る。

「どうしてでしょう?分かりやすい図式だからでしょうか?」

ガトーショコラにナイフを入れているひいろの言葉にみのりは大いに納得した様子で頷き、司は解せないといった表情を浮かべて首を竦めた。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



コメント

Re: な○様

長らくお休み状態のブログに足(?)を運んでくださりありがとうございます(*^^*)

カクテルの名称は最初の頃の作品(カテゴリーは蜜は甘いか~)に載っております。

えりりこのにっしを面倒ですが、隈無く読んでみて下さい。

解除方法を載せております。

大ヒントとして、数字は818です。

どんなでしょ?

たどり着き、少しでも♥️な気持ちになって頂ければと思います。

ご覧になれましたらご一報くださいませ。

えりりんなりに心配ですので…。(モヤモヤしてないかなと)

では後程(。・ω・。)ゞ




管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 〇〇様

ありがとうございます( 〃▽〃)

えりりんは今、夏の残暑ならぬ、"残疲"なのですよ。
(えりりんが勝手に作った用語)

秋の夜長になるというのに、眠くて眠くて…。

書く場所がベットの上と云うのがそもそもダメなんでしょうね。

気合いが入る場所を探しますね(* ̄∇ ̄)ノ

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




PVアクセスランキング にほんブログ村