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募る思いは誰に届く6


司を乗せた高級車は道明寺邸の高い平垣に沿った道を進んでいた。

「つくしが目を覚ましたとの連絡はまだ入ってないな?」

「はい。まだ、入っておりません。お嬢様方はすでにお菓子作りに取り掛かっているそうですが」

「…そうか」

司は車内の天井を見つめながらそう答えた。

そんな司を見た三澤は、右耳に付けているイヤホンを外して、隣に座っている司の方を見た。
イヤホンからは仕事のことからプライベートのことまでの幅広い情報が入ってくる。

先程の司の言葉がどうしても気になっていた三澤は確信を得ようと司に再度聞いてみることにした。

「何が原因で奥様のご機嫌が斜めになったのかと深く追及しようとはしませんが…」

「三澤?お前、先程の俺の話を聞いていなかったのか?夢の中での俺の行動が、つくしにとって気に障る態度を取ったらしいんだが、そのことに怒ってんだよ」

「左様でした…」

妙に畏まったように返事を返した。

「…信じてねぇな?三澤」

司は少しだけ前のめりになり三澤に詰め寄るように問いただした。

「滅相もございません。奥様は純粋にその時の感情を表にお出しになったのでしょう?」

三澤の答えた言葉に対して司は、小さく舌打ちをして再度、背もたれに寄り掛かった。

司は三澤を目の端で見ると、彼はまたイヤホンを耳に差し込み、小型のパソコン画面に目を配っていた。


信じてねぇな…。


司は素知らぬ顔をしてパソコンと向き合う三澤にそんな感情を抱きながら、昨日の出来事について、自分の行動を検証し始めた。




つくしは昨夜は飲み会だった。

女子会とやらだ。
数年すると五十歳になる。
その大台を目の前にしても"女子会?"らしい。

その事に触れたら、つくしに笑いながら睨まれた。

メンバーはつくしを入れて四人。

松岡(結婚して西門となっているが、呼び名はあの頃と変わらず旧姓なのだった)とあと二人は小学校、中学校の時の同級生とか。

滋や桜子とは別の女だった。
全く知らねぇ女。

俺の知らねぇ女と出掛けること自体が心配かだって?


そりゃそうだろ。


つくしに何らかの危害を加える輩かもしれないしな。

何が起こるかわかんねぇだろ?
特に女同士は心理的なジャブを所々で繰り出すからな。

事前に分かっていれば、どんな生活をしていて、どんな人間と関係があるかや、仕事の内容に至るまで、相手の女の身元をきっちりと調べあげる所。

今回はそのことが叶わなかった。

正しく云えば、時間切れである程度の事しか把握出来なかった。

現在の住所や職業、家族構成や借金やローンの有無程度までしか報告が上がらなかったのだ。


なぜって?


つくしのヤツ、行く日にもう二人友達が一緒だという事を告げてきた。

知っていて告げなかったのか、突然に二人が追加になったのか。

ただ単に、『優紀とフラりと何処かで食事でもするわ』としか話してこなかったのだ。

しかも、食事の会場も『まだ決まってないみたい』という返事だけ。

何回か聞いたら(しつこく問いただすような真似はしてねぇ)、逆ギレしてきた。

『セキュリティ?どうせ、近くにあたしのSPがいるんでしょ?違う?心配しないで!』

『…はぁ?優紀が変な所にあたしを連れて行くわけないでしょ?!馬鹿なこと言ってると怒るからね?!』

『知らないっば!!また、決まってないんって言ってるでしょ?!!』


ってな。


そんなんで、仕方なく総二郎に それとなく探りを入れた。

使えねぇことに収穫はなし。

何処かの名だたる料亭やホテル、レストランへの事前予約は無いみたいだと言っていた。

『心配すんな。二人ともいい年の女だぜ?』

電話口からはそう言って笑いながら話してはいるが、内心はかなり動揺しているに違いねぇんだ。

松岡や牧野の名前でも予約が入ってないか、関東近辺の行けそうな所に片っ端から問い合わせているようだと三澤に情報がもたらされていたんだからな。

それでも、行き先はもう決まっていて、つくしが知らないふりをしているんじゃないかと思っていた。

なぜって、物凄く浮き足だっていてたし、時々俺の知らないいろいろな歌を口ずさんでいたからな。

オレの知らねぇ女二人が来ることを、つくしは予め知っていたとしか思えねぇ。

知らねぇ男と、ものすげぇ至近距離で飲んだり、煽てられたりするような、そういう場所じゃねぇだろうな?と勘ぐったりもした。

俺の勘は当たらずとも遠からず。

つくしたちは知らねぇ男たちに囲まれて食事。いや、"女子会?"を決行していた。


どんな所かって?


テーブルとテーブルの間に天井から吊るされている仕切りは確かにあることはある。
その薄い仕切り板を取り除けば、知らない人との距離は1メートルも開いていないようなスペース。
(背中合わせで座っている状態)

窓際につくしたちのテーブルがあって、その回りをぐるりと何処の誰かも分からないようなオヤジやヤローどもが座っていたらしい。

つくしたちのテーブルの前後に会社帰りのサラリーマン。
横のテーブルには学生のグループ。
(他には、つくしたちと同様に女子会が多く執り行われていた)

相変わらずだが、美味しそうに焼き鳥や串揚げを食べてたって言ってたな。

あと、海老とアボカドのマヨネーズ焼きやら、揚げ出し豆腐、お造りなども食べたと報告が上がってきた。

酒はピーチウーロンと梅酒のソーダ割。
あとはソフトドリンクやスイーツ等を経て、最後に杏酒の水割りを飲んだらしい。


…全く。

飲み過ぎだろ?


これらの情報はあくまでも、SPらの定刻での報告で得たものだ。
1時間に3~4回のペースで報告が上がってくる。

言っとくけど、そこに映像や写真、音声等が送られて来ることはないからな。


俺はストーカーじゃねぇ!!


一般の常識は生憎持ち合わせているからな。

そんなに見張るような真似を俺はしないし、もし仮にそんなことを俺がしているとなったら、どんな抗議の仕方をしてくるのか分かんねぇ。

一生、口を聞かないとか言ってきたらどうするよ?

それにもし、その時の食事の映像や写真がSPから送られて来たら、とてもじゃねぇが仕事どころではなくなるしな。



庶民の通う居酒屋に行きたかったんだろうと、俺なりに考えた。

誰もつくしたちに話しかけたりするようなヤローどもはいないし、つくしがとてもリラックスしているように見えると報告された。

居酒屋では2時間くらいでお開きになることが多いとSPたちが言っていたこともあって、俺は仕事を切り上げて邸に帰り、子供達と今日の出来事を報告し合いながら食事を取った。

つくしが出掛けている間も、ちゃんと父親の役目を果たしていたよな。

立樹とも風呂にも入ったし。

風呂に入り終わった頃には、つくしが帰宅するとの連絡が入ってもいい時間となっていたんだ。

ところがその連絡が何時になっても入らねぇんだ。




「旦那様?どうかされましたか?」

三澤がタブレットから目を離して司を見ていた。

「眉間に皺がよっておりますよ。奥様の事を考えておいでで?どうやって奥様のご機嫌を最高潮にまで回復させるかを検討されていたとか?」

「いや、俺の昨日の行動を検証していたところだ。俺の非は1ミリも今のところは無いようだ」

「本当ですか?」

「はあぁ…。お前たちはつくしが勝手にヒステリックになって、俺が振り回されているとは思わねぇのか?ええっ?」

訝しげに顔を覗く三澤に、盛大な溜め息を漏らしながら質問を返した。


司を乗せた高級車が邸の門の前に到着する。

黒光りしている大きな門は車の到着と同時に滑るように開いた。

高級車はエントランスに向かってゆっくりと進みだした。

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コメント

Re: 〇〇様

なかなか時間が割けなくて、超スロー更新となってます ( ̄ω ̄;)

コロナくんの陰謀にもめげずに、ちょっとずつですが、生活のリズムが戻って来ました。

なのですが、太陽が南の島級のパワーで、今度は暑さでバテそうです( ̄0 ̄;

ゆっくりとですが、オチに向かっておりますので( ̄▽ ̄)ゞ







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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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