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募る思いは誰に届く4

西門邸の門から司と三澤が出てきた。

運転手は満足そうにしている司の顔を見て安堵した。
きっといろいろな事が上手くいったに違いない。

道明寺邸から出発したばかりの頃の二人はピリピリしていたものだ。
その時は司が発する圧倒的な負のオーラで車内が充満していた。

お嬢様方が邸を訪問すると聞いてからは、車内の空気が和らいだ。

今の旦那様の体からは圧倒的な負のオーラは感じられない。
まぁ、完全に払拭されているとまではいかないが…。

長年仕えているこの私でないと、その場に居ることさえ儘ならないと思う。
初心者なら、空気の薄さに耐えられないだろと思うのだ。

そんな任を長年遂行している自分は何と心持ちの強いことか。
自分自身でいつものように鼓舞する。

そういえば、車道にまで見送りに来たのは出迎えたお弟子さんだった。

この邸に司の仕事がらみで訪問するときは、決まって門の前まで宗匠夫人が着物姿で見送りに来る事が多い。

今日はお越しにならないな。
邸に夫人はおいでにならなかったのか?

奥様が邸に戻っているのだから、そんな事はないはずなのだが?
昨日は奥様とご一緒だと聞いていたが?

確かに帰りは非常に遅かった…。


?!!


まさか…。


奥様は宗匠夫人と実はご一緒ではなかった?!

それを確かめに旦那様は朝からこの邸に?!

…いやいや、そんな事はない。


落ち着け…

落ち着け…


「何をしているのです?信号機が青に変わってますよ?」

大事そうに抱えている風呂敷を抱えている三澤が、信号機が青になっても、なかなか発車しない運転手に向かって声をかけた。

「も、申し訳ありません!」

頭を下げた後、バックミラーを覗くとそこには怪訝そうな三澤の顔があった。

司はというと、真顔でスマホを弄っていた。
誰かにLINEでも送っているのか、何やら打ち込んでいる。

車内の空気感は悪くない。
旦那様の周りの空気は軽く澄んでいるようだ。

思いきって質問しようか?
このまま心の底にモヤモヤさせておくのもどうかと思い始めた。

運転手はすぅっと息を吸い込んでから、音域を半オクターブ上げた声聞いた。

「宗匠夫人はお留守でしたか?」

「いや、居られましたよ」

問に答えたのは司ではなく三澤だった。
また、怪訝そうな顔をして、今度は質問を返した。

「なぜ、そんなことを?」

「お、お見送りされるとき、いつもの門の所まで出て来られるものですから…。その…本日はお目見えしなかったものですから…」
そう素直に答えた。

この人たちを相手に変な誤魔化しは効かない。
そんなことをすればかえってややこしくなるだけだ。

「そう言われてみればそうか…」
答えたのは司だった。

その司の答えに運転手は心の中で一人ツッコミを始めた。

ご友人の伴侶様ですよね?
しかも高校生の頃からのお知り合いでしょう?
奥様と幼少期からお付き合いされているご友人だと、この私でも知っておりますよ?

先程、お会いしたばかりだと云うのに…。

奥様以外の女性には全く興味を示さないのですね?

旦那様のお心はお幾つになってもブレません!!


驚き表情と尊敬の眼差しでバックミラー越しで司を見ると、バッチリと目が合った。

思わず目を反らし、ハンドルをギュッと握った。

「完全な私服姿でしたからね。今日は」

三澤が司の言葉を受けて、補足して運転手に伝えた。

「左様でしたか」

自分の考えが完全に杞憂に終わったことに安堵すると共に、宗匠夫人の私服姿とはどんなものか気になった。

だが、これ以上詮索して司の機嫌を損ね、三澤にゴシップ好き等と思われでもしたら大変だ。

きっと奥様と同じような私服姿なのだろうと勝手に予想して探求心を胸に仕舞いこんだ。

「では、急ぎ邸に戻ります」

運転手は大通りに向かって走り出した。




「なぁ、三澤。今日、松岡が着ていた上着だけどよ…」

「桜色のカットソーのことですね?」

「あぁ。あの服、つくしも持ってねぇか?」

「さすが、旦那様!その通りですよ。奥様はラベンダー色のカットソーをお持ちですよ!」


?!!


運転手は、思わず前のめりになった。
拍手したくなる衝動を押さえて、グッとハンドルを握る。

奥様がお召しになっておられる洋服の色違いなのですね?!!

思わぬところで気になっていた謎の扉が一気に開けたではないか?!



「また、あそこの服か?」

「えぇ、あそこの服です」

「…ほう。今日履いていた踝が出るパンツも最近はつくしも履くな…」


あそことは、日本を代表するファストファッションブランドの代物だ。


「そういや、つくしがお揃いのを松岡も買っていたんだって、言ってたな…」

司は、その時の事を思い出してか、顔の表情が和らいだ。

三澤は、運転手が今日一番の笑顔で笑っているのを、バックミラー越しに少しだけ怪訝そうに見つめた。

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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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