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募る思いは誰に届く1

「俺だ。西門家にこれから訪問すると伝えろ」

"自室"を後にして、邸のリビングへと移動したこの邸の主は物凄く不機嫌な声色で執事室に連絡を入れた。

主の命を受けたのは元SPの三澤。
三澤はSPの職を経て、道明寺家の執事として仕えている。

道明寺家の執事たちは昼夜交代でこの家の者に支えている。
当然のごとく、朝早かろうが、夜更けであろうが、この家の者たちの要望を聞き入れる。

「総二郎のヤツ、携帯に出ねぇ。こっちは一刻を争うってのによ…」

司は邸のリビングのソファーに深々と腰掛け、足を揺らし始めた。
親友の総二郎が何度となく電話をかけても出ないことに苛立っているのだ。

今回は何事もなかったように思えたのだが、やはりそうはいかなかったか…。
三澤は心の中で呟く。

『司様、家元は現在、京都にいらっしゃいます。恐らく始発の新幹線でこちらに向かっている予定かと』

「あっ?確かな情報だろうな?」

司は、一点を見つめ睨みながら聞き返す。
その言葉を言い終わった直後にリビングの扉がノックされた。

「三澤か。入れ」

司の承諾を得て、三澤はリビングに入った。
司に一礼をした後に、先程の司の質問に対して返答を始めた。

「司様。西門次期家元の秘書からの確かな情報です。新幹線に間違いなく搭乗したとの事です。西門邸に到着するのは9時頃となりますが?」

三澤は今までの経験上、主の親友である、西門総二郎のスケジュールをも把握しておかねばならないと思い、総二郎付の秘書とやり取りしていた。
それで、即時に現在の動向を答えることが出来るのだ。
道明寺家の執事は、急な申し出にも迅速に対応しなければならない。
(なんせ、相当に気の短い人…。いやいや、一分一秒を無駄に出来ない人たちの集団なのだから)

三澤の言葉を受けて、舌打ちをした司は大層呆れた顔をした。

「チッ…。京都かよ。余裕って訳か…」

そう言い終わると、何故だか無性にイライラする心が増幅して、ますます長い足を揺らし始め、眉間に盛大なシワを寄せた。

実は、総二郎付の秘書も司様の昨日から本日にかけてのスケジュールを問い合わせて来ていたのだ。

両者ともに全くもって嫉妬深いと云うか、愛情が深いと云うべきか。
己の妻たちの言動にお互いに探りを入れられるようにしているのだから。

何ともはや…。

三澤は静かに深呼吸をした。

三澤は下手に何か進言しない方が良いだろうと判断した。
『西門様もご心配されております』等と言ったならば、さらに司様のお心が乱れることになる。

「司様、コーヒーをお持ちいたします」

「あっ?!コーヒー?こんな時にゆっくりと飲んでられるかっ?!」

「司様、今、何時だとお思いですか?」

「チッ!クソッ!」

リビングのソファーに深々と腰掛け直し、長い足を投げ出している主に一礼を済ませる。
三澤は、朝のコーヒーの用意と車を表にすぐに用意すると伝えてリビングを後にした。

現在、朝の7時半を少し回ったところ。

こんな朝早くに訪問したいとは…。
仕事になれば、完全なポーカーフェイスで、微塵たりとも、相手に付け入る隙など見せないお人だ。
昔からだが、つくし様の事となると感情も態度も注がれる愛情もが駄々もれになるのは誰にも止められない。

司様がコーヒーをお飲みになり、支度を整え済ませ、西門邸に車を向かわせるとすると…。それでも、こちらが少しばかり早めに到着することになるな。

三澤は西門邸を訪問したいとの意向を邸の使用人頭に伝えた後に、総二郎の秘書にもこちらの動向を報告した。

昨夜のつくし様に何があったのか?

三澤は、ご機嫌で帰宅したつくしの昨晩の様子と、時折SPから報告されてたつくしの動向からは何のその問題もないように思えたのだが。

三澤は、なぜ司がこんなに朝早くに西門邸を訪問したがるのか分からないでいた。







司は三澤が出て行った後、リビングの壁に掲げてある大きな写真をじっと見つめた。

写真の額縁は世界でも指折りの職人に細工を施して貰っている。
それだけでも数千円はするものだ。

その写真はというと、つくしが一番下の幼い息子を抱き上げ、その周りを俺と上の子供達で囲い朗らかに微笑んでいる。
(家族写真ってヤツだ)


何があった?


確実に何かあったのは間違いない。

でなければ、あんな奇妙な行動をするわけがない。

それにあのLINEの内容…。

まるで、ラブレターじゃないか…。

俺が側にいるってのに…。







〈〈夢の中で小学二年生の頃のみぃちゃんと小学六年生頃のひぃちゃんに会いました。

凄く久しぶりに会えて、本当に嬉しかった。
どこで会ったと思う?
牧野の家の中だよ。
少しだけ改装されていた。
(夢の中でだけどね)
小さい頃によく遊んでいた部屋の所に二人が肩を寄せあって笑って座っていました。

あたしを見ると、『ママ~、来てくれたの?』とニコニコしてくれました。

あたしが仕事をしている間によく牧野の家に出掛けてましたね。

とても懐かしく感じました。

怖いことにあの頃に一瞬、戻りたいとも思ってしまいました。


あたしがあなた方たちを抱きしめていると、 パパが廊下から凄く冷たい目でこっちを見ているんです。

蛇のような冷たい、底なし沼のような目で。
あの人のあの目、凄く怖かった。

貴女たちはあの人のそんな目を見たことはある?
凄く、恐ろしいの…。

『あの二人はもうここにはいない。わかっているだろ?』

そう言って、抑揚を付けない淡々とした声で答えるの。

ひどいでしょ?

『泣くな。泣いても、もうあの子たちとは一緒に暮らせないんだ。わかっているだろ?』
そう言ってきたんだよ。

気づいたら、私の腕の中から貴女たちはいなくなっていました。

『あの子たちはもういない』

そう言ったあの人の顔を思い出すと、涙が止まりません。

目が覚めても悲しくて悲しくて独り号泣してました。

貴女たち二人は元気にしてる?
体調は大丈夫ですか?

凄く会いたい

いつでもいいから

貴女たちを抱きしめたいって思ってる

この思いをどうしても届けたかったの〉〉










LINEの内容だ。
つくしが娘たちに送った内容ものだ。

この文章を打ち終わり、俺に見せた時、凄く安堵した笑顔を見たんだ。


この内容の文章を俺に見せてだぞ?

何で、内容を一字一句覚えてるかって?

俺にも送って来てたんだよ。
(俺は、それをじっくり読んだって訳)




何があった?

俺との生活に嫌気が差しているとか?


そんなはずは…。


まさか、嘘だろ?




いや、もしかしたら…。

現に、マジで拒否されたじゃねぇか?

あの目は…。


あぁ…

そうだ…

つくしを襲ってしまった時の…

あの時の目だ…。

怯えた眼差しで俺にすがり、許しを乞うあの表情だ…。



何であんな目を俺に向けた?

何が悪かったんだ?


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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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