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リスペクト6

リビングにはみんなの笑顔。
弾けんばかりの笑顔。

(俺以外)

シャワーを浴びて、ベッドに横になり、一人の時間を満喫するはずだった。
それなのに、家族の語らいの時間だと、無理矢理リビングに呼び戻されている。
しかも今現在、非常に屈辱的な扱いを受けているような気分に陥っている。


「ゴメンね。カ~イ、そんなに怒んないでよ。ねっ?」

声の方をジロリと見る。

「イヤだわ。そういう時の顔、本当に司にそっくりになっちゃって…」
「イヤって、何だよ?親子なんだから仕方ねぇだろうが」
そう言いながら、微笑み合う中年男女。

もとい、俺の両親。

「カイくんだって、思春期の反抗期に入っている男子ですわ?この場に居合わせてくれるだけでもありがたいって思わないとですわよ?」
「そうよー。パパもママも息子が良い子で、ありがたいって思わないとよ」

姉ちゃんズ、分かっているなら、そっとしてくんね?

本当にね。反抗期なのに、こんなにいい子でいいのかしら?ありがたい。ありがたい。って、娘に言われて、感激している親って…。

「だからって、気安く睨むなよ」
親父は軽く俺を牽制しながら睨み付け、母さんを守るように抱き寄せている。

「ばっ、馬鹿!そんな事したら、ますます狭くなるでしょうが!」
母さんは、そんな時は酔っぱらいのように顔を赤らめる。
(この夫婦のやり取りが普通ではないと、ここ最近漸く知った)

リビングには特注品ソファがある。

コの字に配列してあり、二つは五人掛けとなっている。

「日本は暑いわね。スッゴく暑い。パリはちょうどいい気候だったのよね?」

母さんは姉ちゃんズに同意を求めている。


いやいや、そりゃ暑いでしょうよ。


親父は勿論というか、母さんの横で、体をくっ付けて座っている。

弟は、母さんの膝の上に頭を乗せ、眠りに就こうとしている。
足は、親父に向けているが、親父は機嫌が良いので、気にしていないようだ。

妹は、親父とは反対側で同じように、母さんに体をくっ付けて座っている。
その隣には姉ちゃんズ。
母親と姉たちに挟まれて、超ご機嫌だ。

五人掛けだが、そこに五人座らなくても、と思うわ。
やっぱり、窮屈に見える。
それに、見ているこっちも暑苦しい。

その向かいに俺。
一人なんで、悠々と座っている。
(こっちも五人掛けで、傘だけが横にある)

親父は窮屈じゃねぇのか?
自分の手を広げて、触れる範囲内に他人が居たら、殴ってそうだ。
イヤ、間違いない。殴るな。親父は。

「お母様、そういうのは、コッソリと渡すものなの。カイくんも年頃なんですから」
「そうよ。わたしたちなんて、わざわざ、部屋まで行ってコッソリと渡したんだからね。ねぇ?カイ」

そう言って、俺の横にある傘に目を写す。

おいおい、姉ちゃんズ、そういう言い方したら、俺が本気で気にしていると思われるだろうが!



「ママもそうとも考えたんだけど、逆にそうゆう事が、もう普通の事になって来ているのかな?って、考えたのよね」
「男が、んなことに気を使うのか?あっ、もしかして、総二郎を…」

夫婦二人で、ゴニョゴニョと話している。
西門のおじさんの名前や、優紀さんの名前が出てくる。

妹は、二人の名前が出ると、両親の話に「そうなんだ?へぇ~」と、こっちを見ながら納得したように頷いている。

な、何だよ?

「お前、この間の総二郎の姿を見て、スゲーって、言ってたもんな。そうか、今じゃ男も気を使う時代になったんか」


何の事だ?


西門の邸を親父と訪れて…
スゲー、暑い日で…
確か…

庭園にある茶室の花を生けるのを、ここ最近は、優紀さんが行っているんだと言って、案内してもらった。

次期家元夫人として、切り盛りしているのが俺にも分かった。

その時に西門のおじさんに日和傘を差している御弟子さんがいて、その傘が竹に雀を描いた柄で、スゲー綺麗だったんだ…

優紀さんが生けた花は、竹で作った花器に生けてあった。
優紀さんは、『最近よく小鳥の声が聞こえるの』そう言って、笑っていた。

『西門のおじさん、優紀さんの今日の生け花と合わせてその傘をチョイスした?』
『いや、考える事が同じだったんだろうよ』
そう言って、少し照れてた。

俺には分かった。

自分の妻が周りに少しづつだけど、認められていく嬉しさからなんじゃないのかって。


スゲー…


さりげない愛情表現もいいなと、素直に思った。

親父に、『西門のおじさんって、日傘にも気をつけているんだな。
妻への、さ・り・げ・な・い・愛情もスマートだしさ』そんな感じで話をしたっけ?

って?

えっ?

親父、まさか後の話が核心なのに、頭から消去してんじゃねーの?

「まさかと思うが、俺が日傘を差したくて、差しているって、思っている?」

目の前に座っている俺の家族たちに聞いてみる。

「お前、あの時、日傘って差すと涼しく感じる。スゲーって、言ってたぞ」
「昔と違っ紫外線の量も多いらしいしね。優紀も、カイくんが日傘の実用性とファッションとしての機能を兼ねているんだねって、話していて、何だか嬉しかったと言っていたわよ」

イヤイヤ、だから…

俺は何も言ってねぇんだよ!!

勝手に群衆が…

俺が弁解しようと話を始めようとすると、

「ファッションといえば、つくし、お前何で類と対になるようなピアスをチョイスした?」
「あれっ?あぁ~、あれね。類のタイピンと似てるなって思ったんだけど、同じブランドの物を身につけるんだから、少しはダブるでしょ?」
「お父様、あれはわたくしがお母様のと取り替えてもらったの」
「そうよ、パパ!あのピアスの方が似合っていたでしょ?」

姉ちゃんズが母さんの援護に向かう。

「お母様のセンスがないなんて世間で言われたら、それこそ一大事です」
「そうよ~。それは確実な事実になるでしょ?そうなったら、それこそ大変よ~」

姉ちゃんズ、微妙に、母親をディスってんぞ…。

「お、お前たちな~、つくしと、類が…」
「また、類の話?お風呂の時にも散々言ったでしょ?いろいろ誤解だって…。ブツブツ」


すっかり俺の傘の話は終わったようだ。


「うるさーーーい!眠れないよーーー!」
弟が、足をバタバタさせる。
それに親父は青筋立てて、怒ろうとする。
母さんが、静かにしなさいと二人を宥める。


疲れた…


今日は本当に疲れた…


明日も学校だからと言って、一足早く、リビングから逃げ出した。





自室に戻るとベッドが出迎えてくれた。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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