FC2ブログ

記事一覧

さて、鬼さんは誰でしょう?



「ねぇねぇ?豆を撒くのと、鬼になるのとどっちがやりたい?」

つくしは男性陣に向かって声をかけた。

声を掛けられた男性陣のうち、一人を除いた二人は揃って同じ事を同時に口にする。

「「どっちもやりたくねぇ」」









祝日の昼下がり。

冷たい風が頬を掠めるも、太陽の光が照らすことで、寒々とした空気を暖かいものへと変えている。

つくしは急ぎ足で白を基調としたモダンな造りの建物に入った。

八畳ほどのスペースに小さなカウンターが備えてある。

カウンター越しには女性二人がおり、二人はにこやかにつくしを迎えた。
髪の毛を綺麗に後ろに束ね、お揃いの茶色のコスチュームを着ている。

『お待ちしておりました』と挨拶されて、深々とお辞儀される。

一人の女性がつくしに声を掛け、いかにも座り心地が良さそうなソファーに腰を掛けるように促した。

つくしは着ていたコートを一人に手渡し、ソファーに浅く腰掛けた。

「少し早く来すぎましたね」

つくしは備え付けられているアンティークな時計に目を配る。

予定の時間より十五分早く着いてしまった。

「大丈夫ですよ。今、準備が整いますから」
「私どもお会い出来るのを大変心待ちにしていたんですから」

一人の女性がそう言うと、もう一人の女性もそう言って笑って頷いてくれた。


暫くすると、奥の方からまた一人女性が来て、つくしに声を掛ける。

「準備が整いましたから、先に中に入って仕度をされてはいかがでしょう」
「そうして下さいませ。社長ももうすぐこちらに到着するとの連絡も入っておりますし」

中に入るように促されたつくしは、素直にその申し入れに従うことにした。

「少し早いけど、お願いします」

「そうして下さいませ。では、お履き物をこちらに履き替えて、中にお進み下さい」

暖色のダウンライトに照らされた廊下を女性の後について進む。

廊下には幾つかの小部屋があり、つくしが通された部屋は一番奥の少し広目の部屋。
ここに来るとこの部屋以外を通されたことがないと気づいたのは、五回目の時だった。

奥の部屋の扉を開けると、目の前にベッドが鎮座している。

その奥にはシャワールームとパウダールームを備えている。

室内も廊下と同様に暖色のライトで照らしている。
温度はこれから真っ裸になることもあって、少し高めに設定されているしてある。

その効果もあって、室内はいつもの甘く少しスパイシーな香りが立ち込めていた。

つくしは思い切り鼻腔が香りで一杯になるように吸い込んだ。



あぁ、この香り…。


癒されるわぁ…。



「ふふっ。いつも部屋に入られると深呼吸されますね?」

案内をしてきた女性はつくしのコートをハンガーに掛けると、つくしに話しかけた。

「えっ?あっ、そう?…そうね。凄くこの香り好きなのよ。嗅いでいるだけでリラックス出来るもん」

「そう言って頂けると光栄です。本日はよりリラックス効果をあげるような配合にさせて頂きます」

「ありがとう」

「では、お仕度が整いましたら参ります」

案内してくれた女性はそう言ってお辞儀をして、退室した。

つくしは直ぐ様、マーメイドラインのスカートのファスナーに手を掛けた。
スカートをするりと脱ぎ捨て、続けてセーターを脱ぐと、もう一つ用意されているハンガーに掛けた。

その後にヒートテックやタイツを脱ぎ、下着姿になったつくしは大きな鏡の前に立った。

暫く自分の体を眺め、二の腕や、下腹を擦ったりした。
柔らかくなったお肉をフルフルしてみる。
(人はこれを脂肪。またはセルライト等という)

暫くお肉を確認した後、下着を全て脱ぎ去り、備えてあるベッドに横たわった。







「…つくしさま。…つくしさま。」

体を少し揺り動かされ、声を掛けられて初めて自分があっという間に睡眠に陥ったのだとわかった。

今、つくしは身体中に上質な数種類のオイルをたっぷりと塗られて、専用の発汗シートに包まれている。
秘伝の配合らしい。
身体の各部位ごとに種類が違うのだとか。

オイルを塗られて、シートに包まれた状態で、オイルが身体中に浸透するまで暫く寝かされるのだ。

だから、これから調理される食材みたいだと、この状態になるといつも思ってしまう。

節分で食べた鰯のオイル焼きみたい…。

つくしはその事を思い出して苦笑する。

担当してくれるセラピストたちは不思議そうな顔をするも、そこには触れず『これから始めさせて頂きます』と施術の挨拶を済ませてから、足元のシートか少し開けられマッサージが始まった。








「クスクス…。先輩、凄いですね」

「そうかな?」



つくしは先程からオイルをたっぷりと塗られて、シートに包まれている。

このシートは発汗性がある。
そこに、たっぷりとオイルを塗られた身体は、マッサージをするには滑りが良すぎるくらいに滑り、気になる所をつまみ上げ、絞り込むにはもってこいとなる。

今日は久々に桜子のサロンにデトックスに来ている。

目的はそれだけではない。
中々会えない親友に会いに来ているのだ。

若い時と違い、それほど多く集まることもなくなった。
それでも時間や場所をやりくりしてこうして直接話をしているのだ。

桜子はこのサロンを経営している社長だ。
マッサージを受けているつくしの傍らでチェアに腰掛けてベルガモットのアイスティーを啜っている。

「私の家もしましたよ。まっ、鬼の役は当然ですか旦那ですけどね」

「やっぱり?でもさ、自分から張り切ってしてくれるでしょ?うちの男二人は即座に拒否よ。拒否」

つくしは身体のデトックスもさることながら、心のデトックスも同時に行っている。

「驚いたよね?司と開万に聞いたら、同時に同じ事を言ってくるわけよ。『どっちもやりたくない』ってさ。立樹だけよ。『豆まきがいい~』って、ちゃんと答えたのは」

「それで、先輩のイベント魂に火が付いたんですか?」

「かもね?ムッカ~って、なってさ。有無を言わさずにあの二人を鬼に任命したわよ」

つくしが夫である道明寺司と、息子の開万に鬼のコスチュームを着せて、角のカチューシャを着け、カラコンを入れ、本格的に鬼に変身させたと打ち明けた。

その瞬間、つくしを施術しているスタッフの二人は目を見開きアイコンタクト。

「しかも、よく仕舞ってありますね?昔、滋さんが作ったものですよね?」

「うん。ちゃんと保管してるよ。使ったらクリーニングしてるしね」

「えっ?あれから何回か使っているんですか?」

つくしは、司が会合などの用事がなければ、ちゃんと節分で使っていたと告白する。
その瞬間、またまたスタッフは驚きでアイコンタクトを取る。

「…先輩。今や経済界の魔王と云われている道明寺司が節分で鬼のコスチュームですか?」

「魔王って、鬼じゃん?」

「まぁ、そうですけど。フフッ」

つくしの、返しに桜子が笑った。

つくしは、司と開万が鬼になり、うららと立樹がキャーキャーと言って楽しく豆まきをしたことを話して聞かせた。

室内はつくしと桜子の楽しい会話で弾んだ。

その間も勿論、マッサージは滞りなく行われている。

暫くして仰向けになっていたつくしは、うつ伏せになるように指示される。

うつ伏せになって施術している間もつくしと桜子は会話を続けた。

施術が終わり、クールダウンの時間になった。
うつ伏せのまま頭からすっぽりと少し重めのマットを上から被せられている。

スタッフは退室し、桜子と二人きりになる。

暫くして内線が入り、桜子が受話器を取った。

何やら、小声で話を始めてから桜子は外に退室した。



ガラガラ



桜子が戻ってきたのか、扉を開ける音がした。

「先輩。お二人の写真撮りました?」

桜子が戻って来たようだ。

「撮ったよ。後でスマホ見せるね。司には絶対に内緒ね?」


「…おい。勝手に俺の写真をやたら滅多に人に見せてんじゃねぇ。タクッ」



?!!



一瞬にして、頭の中の思考が止まった。


このエリアで聞くことが決してあるはずがない男性の低い声。

でも、しっかりと聞こえた。

しかも、よく聞いている男性の声だ。

「…えっ?…へっ?…つ、司?…何で?いいの?」

うつ伏せで、しかもマット状のシートが覆っているつくしは顔をあげる事が出来ない。

「俺はこのサロンの土地の大地主だろうが?」

…間違いない。
自分の夫の司の声がする。

このサロンは道明寺家の土地の敷地の中にあるのだ。

「先輩。後でゆっくりと写真を見せて下さいね。道明寺さんもですけど、開万くんの変身ぶりが見たくて仕方がないですわ」

「タクッ…。俺より、開万かよ?…まぁ、しょうがねぇ」

「では、道明寺さん約束ですよ?」


プライベートの写真は本人の承諾なしでは決して見ることが出来ない人のものだ。






『うち』の施術は終わりました。

ごゆっくりとお寛ぎ下さいね。





って、桜子ーーーー?!!!





司の瞳が爛々としているのをつくしはまだ知らない。

「オイルまみれだろ?すげぇことになるな?」


って、どういう事?

つくしはまだ、思考が追い付かないようだ。



「いろいろ、お仕置きしておかねぇとなぁ?」


って?!!


うへえぇぇぇぇーーー?!!!



つくしのデトックス?マッサージ?はこれからもう少し、いや、まだまだ続く。




さてさて、一番の鬼ちゃんは誰でしょうか?

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




PVアクセスランキング にほんブログ村