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クリスマスは大混乱(中編)

コロニアル調の宮殿を思わせる大きな邸に、黒塗りの国産高級車が到着した。
その車の後ろには警護車が続いている。

この邸の玄関は、ホテルの入り口のような大きなエントランスとなっている。

使用人が数名が車の到着に合わせて列を成していた。

「お帰りなさいませ。奥様」
その中の一番の古参の使用人がこの邸の女主人に言葉をかる。
声を掛け終え、腰を綺麗に45度に曲げると、それに続き残りの使用人も同じように腰を綺麗に曲げた。

「只今、戻りました。今日も一日ご苦労様です」

女主人は皆にそう告げると、最初に声を掛けたきた使用人に改めて声を掛けた。

「どうだった?」

「奥様、申し訳ありません。全くの失敗です。シッターたちもお手上げです」

はあぁぁ…

ガックリと肩を落とし大きなため息をついてから、慌てて息を吸い込んだ。
(ため息は幸せが逃げるといけないでしょ?)

「…奥様、お帰りなさいませ。今夜はお早いですね」

それこそ、この邸の生き字引とも言える老婆が杖をついてゆっくりと現れた。

若い使用人たちはその姿を見て、ここの女主人の帰宅の時と同じように腰を曲げてお辞儀を始めた。

「タマさん!起きてたのね。ただいま帰りました。あっ、そうだ。タマさんなら聞き出せるんじゃない?」

女主のつくしの言葉にタマは、ニヤリと笑った。

「もうすぐ(年が)大台に上がろうとしているこのタマに白羽の矢を向けるとは。イヤハヤ…」

「タマさん。立樹本人からでも、うららからでも聞き出して貰えるとありがたいのだけど…」

「よござんす。そう言いたいんだけとねぇ。実はさっき、お二人に尋ねてみたんだよ」

つくしはタマの歩く速度に合わせて、"自室"に向かっている。

「それで?!」

タマはゆっくりと首を横に振る。

「うららお嬢様は今、サンタクロースが本当にいるのかどうか確かめたいようですな」

つくしはウンウンと頷く。

そうなのだ。
うららは小学四年生になる。
クリスマスのプレゼントを用意するのはサンタクロースかそれとも両親かと疑問に思う年頃なのだ。
(ちょっと遅い?)

因みに上の子供のサンタクロース神話はとっくに終えた。

「ひいろがね。あたしに言ったことがあるの。小学生の高学年になるとね。サンタクロースは両親だと気づいたって。だけどね、ママとパパがずっと隠し続けるのを見て、知らないフリをしていたって」

「ひいろお嬢様らしい見解だねぇ」

「でしょ?親よりも大人なのよね。フフッ…。って、タマさんどこ行くの?」

「さっき、言っただろ?あたしゃ、お二人にも話を聞いたしねぇ。それに騒がしい所にいるのは年寄りには堪えるんでね。それでも家族らしくていいじゃないか。まぁ、頑張んな」

そう言ってから角を曲がって、タマは自身の自室に向かって歩いていった。

騒がしいって?
そういえば司はもう戻っているのよね?

ふっと顔を上げると、開万が歩いてきた。
すれ違い様に息子の腕を取る。

「ただいま。ねぇ、どこに行くの?」

「オカエリ。えっ?あっ、"邸のリビング"に」

「何で?」

「何でって。物凄~く、揉めてるから」

「うららとパパ?」

「と、プラスそこにみのり姉ちゃん」

それを聞いたつくしは思わず、高い天井を仰いだ。

間違いない。
揉めているようだ。
自室に近づくと、キンキン声とドスの効いた声とが入り交じって廊下に漏れだしている。

自室の前では使用人たちが部屋の中に入ろうにも入れずにオロオロしていた。

「ご苦労様です。食事の準備よね?ごめんなさいね」

そう言って、自室の扉を開けた。



中では、"経済界の魔王"と"麗しき令嬢二人"が昨日と同じく物凄い形相で睨み合っていた。

「止め、止め、止め~い!お母様のお帰りだぞ~!」

「「ママ」」「つくし」

つくしの登場で緊迫した空気が一瞬で緩む。

奥から立樹が小走りに駆けてきた。

「ママ~」

「リッくん。ただいま」

つくしは立樹を抱き締める。

「ほら、みんな。腹が減っては戦は出来ぬってね。夕飯にしましょう?話は食事を取りながらゆっくりとね?」







「しょうがないわよ。じゃあ、ひいろを抜きにしてパーティーする?しないわよね。あたしは、別に良いのよ」

「つくし…。でもよ」

司は申し訳なさそうにつくしを見る。

「あたしの誕生日に集まってパーティーでも良いじゃない」

昨日、家族で提案していた前の週の日曜にクリスマスパーティーをするという提案は呆気なく破棄されることとなった。

ひいろの『えっ?無、無理ですわ。友達と旅行に行って帰ってくる機内の中ですから』そんな内容のラインが届き、司のスマホにひいろはその日は無理らしいと送っておいたのだ。

それで、何でみのりと揉めるかと云うと…。

「パパはさ、わたしにはそういう時は強く言ってくるのよ。パーティーには間に合うように帰ってこいとかさ」

「当たり前だ。みのりは高校生だろうが?」

「でもよ。わたしの記憶ではお姉ちゃんが中学、高校生の時でもわたしみたいに強く言ったことはないよね?」

「無いわけないだろが?」

「そうよ。それに裏を返せば、みのりが可愛くて可愛くて心配ということよ?」
つくしは司への援護を試みる。
(まぁ、何となく違うのよね。ひいろの雰囲気はどちらかというとお義母様に近い。何事も言いやすいのは、みのりなのかもしれない)

「はぁ?そういうのはいらないのよ…」

と、まぁ。
姉への態度と自分への態度の違いに不満を抱いての父への反抗のようだ。

そこに例の立樹のプレゼントが絡んできたらしい。

「パパがね。うちのクリスマスは28日になるから、プレゼントもその日にしてもらうかって言うの。でもね、プレゼントかどんなものかしっかりと教えてくれれば25日には届くかもなって言ってくるの」

「だから、俺はパパに教えてあげようと言ったんだけどね。う~ちゃんはダメって言ったんだ」
立樹は、物凄く心配した顔をしている。

「リッくん。うららが何回も言ってるよね?サンタクロースはちゃんと届けてくれるのよ。わかった?」

「うらら。立樹本人がみんなにも話たいって云うなら、いいんじゃねぇの?」

「パパには絶対に教えたくない!立樹もわかった?!」

先程は弟を優しく諭すような菩薩のような顔つきで話していたが、一瞬で般若の形相になった。

何でも司に対しては、"絶対に嫌だ"の一点張りらしい。
つくしは困ったようにうららを見た。
怒りの原因は何となくだが分かっている。
昨晩、うららの元で眠りに就かなかったことにうららはえらくご立腹なのだ。

「パパはさ、自分が悪いのにさ。わたしにその分も当たる訳」

みのりはその事を思いだし、また不機嫌な顔になった。





「クリスマスの当日にパーティーすればいいんじゃねぇ?」

いつの間にか"自室"に戻ってきていた開万が放った一言に一番固まったのは他でもない司だった。

「そうよ」
「そうだよね。みのりお姉ちゃん?」

麗しき姉妹は顔を見合せ頷き合い、端麗な顔立ちの兄弟は正解を導きだした挑戦者のような顔になった。




「俺は、25日のお昼から三日間ニューヨーク本社に出張だ。文句あっか?!」



司の大きな声に一同がほんの一瞬、呆気にとられた。

つくしはその事を知っていたので、一人だけ天を仰いだ。

子供達は、一応に頭の回路が瞬時に断たれたに違いない。
そして、暫くして一斉に回路が繋ぎ合わさった。


「「「「パパ(親父)ーーー??!!」」」」


つくしの「あぁあ、言っちゃった…」という声はその場の誰にも届かなかった。

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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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