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クリスマスは大混乱(前編)

「チャレンジしたいです。サンタさんお願いします。そう書いてあるよね?」

雪の結晶をモチーフにした綺麗な便箋に書かれている文字をつくしはゆっくりと読み上げた。

この手紙は他でもない、つくしの可愛い息子の立樹(りつき)がサンタクロースに宛てた手紙である。

「ちゃんとカタカナが書けてる。ふふっ。文字のバランスも良くなってきているわ。ほら、見て」

「お前さ。大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわよ。だからこうして貴方にいち早く見せているんでしょ?」

しれっとした顔で、自分の夫である司にその手紙を見せた。

「なぞなぞだな…」

「へぇ~、なぞなぞって言葉を知ってたのね?」

「…お前なぁ」

「ちょっと、すぐに怒んないでよ。何で、そんなに恐い顔が出来るの?」

「そんなに怒ってねぇだろうが?!」

「さっきから、ずっと怒ってるの!!」


この会話で何となく察しが付いた人もいますよね。
この夫婦ほんの少しばかりの一悶着があったので、相手に対する言葉にちょっとだけ刺があるんです。

「怒ってるよ。ママを恐~い目で睨んでるよ」

「み、みのり?…いつの間に?」

声のする方に振り向くと、娘のみのりが立っていた。
その姿は若い頃の道明寺椿にそっくりだと巷で云われている。

「ママが"怒んないで"って言ってた辺り?」

少しばかり軽蔑の眼差しで父を見る。

「ちょっと待て。みのり。それは違うぞ。ママが最初にパパを苛めたんだ」

「ふはぁ~~っ?」

夫の司の返しにすっとんきょうな声が出た。

「何処の誰が苛めたって?だって、しょうがないでしょ?!先方がどうしてもその日にしてくれって頭を下げるんですもの!仕事でしょ?し・ご・と!!ハァハァ」

つくしは一気にまくし立てて、息切れを起こした。

「だって、お前な!クリスマスだぞ!一昨年に俺が出張から帰るのがクリスマスの翌日だった時は、お前は物凄く機嫌が悪かっただろが?」

「そんなことあった?」

「あっただろうが」

暫しの沈黙。

「な~んだ。要するにパパはママとクリスマス・イブの夜を一緒に過ごしたかったって訳ね?」

娘のみのりが確信をついてきた。

中年夫婦はその言葉にほんのりと頬を紅く染めた。

「で、でもね。何とか早く視察が終われば、夜には帰れるから…。遅くなるけど…」

「そうなんか?」

まるで青春ホヤホヤのカップルのような表情で見つめ合う両親を見て、みのりは完全に脱力した。

「はぁ、馬鹿らしい…」

「みのり、お前な。仮にもクリスマスイブだぞ。家族揃って過ごすのが我が家のルールだ…」

アホクサッ

聞こえるかどうかの小声が司の耳に届いた。

「みのりーーー!!今、何て言った?!」

「聞こえてたでしょ?!アホクサって言ったの!!」

(何でか、"バカ"には反応しないが、"アホ"には素早く反応する司…)

物凄い形相で睨み合う親子。
二人とも顔立ちが整っているが故に緊迫感が倍増する。

「もうっ!二人とも止めて。今年のクリスマスは平日のなか日でしょ?しょうがないよ。その週の前の日曜日に家族のパーティーをしようよ。ねぇ?」

いつの間にか夫婦喧嘩は収まっていた。
その代わりに親子喧嘩になり、それを収まるのがつくしという何時ものパターン。

「もう、終わりました?」

呆れた顔でリビングに現れたのは、長男の開万(かいま)。

「それじゃ、クリスマスイブの日は友達との予定を入れるから。って、ことで」

そう両親に告げて、さっとリビングを出て行く。

「ちょっと、カイ~?お姉さまに"ありがとう"と"お礼"は?」

そう言いながら、弟を追いかけていくみのり。

『みのり姉ちゃんも、それを狙っていたんだろ?』って声が聞こえてきますけど…。


「何だ?アイツら…」

そう言いながら、司はつくしの方を見た。

「フフッ。しょうがないよね?思春期の真っ只中よ?あの二人。それでもつき合ってくれてるじゃない」

ふぅ

司は深く息をした。

「…だな。ひいろにもそう連絡してくれ」

「分かったわ。…司。…ありがとう」

司とつくしは結婚してからというもの、毎年どんな形でも家族でクリスマスを過ごしてきた。

つくしは、立樹からの手紙を改めて司に見せた。

「難題よ?」

「違いねぇ」

司はつくしの肩を抱き寄せた。

「なぁ、部屋でいろいろ調べようぜ」

「良いけど…」

少しだけ困った顔をして答えるつくしに司が尋ねた。

「どうした?」

「うん?あのね。今日は帰りが遅くなったでしょ?帰ってきたらうららの所に来てねって言ってたから…」

三女のうららは自室で眠るようになった。
つくしが仕事でやむ無く遅くなるときは、大抵は弟の立樹を連れて寝ている。

「二人の顔は帰ってすぐに見て来たんだろ?」

「当たり前でしょ?少しだけ話をしたらうららの部屋に行くからね?」

「あぁ、そうしろよ」



二人は、立樹からの難題を解くべく、心当たりのある習い事の先生や、シッターたちにラインを作成した。

送った後の二人はというと、案の定(?)というか何と云うかベッドで抱き合い、一夜を明かした。





「ヤダ…。結局朝になってる…」

実を云うと、ここ1ヶ月ほどすれ違いの日々で夫婦がまともに向き合えたのは昨日だったのだ。

当然(?)二人きりになれば、ベッドが二人を誘いをかけるわけで…。

つくしは、隣で寝ている司の腕をやんわりとほどいた。

「…うららの所に行くのか?」

「あっ、起きちゃった?うん。そっとベッドに滑り込む。…またね。チュ」

つくしは司の頬にキスを落としてベッドを後にした。





翌日、ラインをしておいた先生方からは分からないという返事が届いた。

「うららなら知ってるんじゃねぇか?」

司の考え通り、うららは知っているようなのだが…。


「チャレンジが何かはサンタクロースなら知ってるから、ママとパパが知らなくても大丈夫なの!!」



頼みの綱は物凄くご立腹。



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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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