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願い事39

「今日はここに泊まるの?」

「あぁ、そうなるな」


丘の傾斜を利用して建てられている、レストランの駐車場の脇にあるコテージ風の宿泊施設。

今晩はここで一夜を空かすことになる。


ここの予約を入れたのも進だ。





『おじさんたちと夕飯を頂いて最終の新幹線で先に帰ることになったから』

『えっ?急に?』

『俺のバイト先から電話があってさ。俺も稼がないとだろ?そのレストラン良かったでしょ?道明寺さんに宜しくね』

『電話を変わろうか?』

『ふへえっ?緊張するから…』

慌てふためいているであろう進の姿が想像できた。

『おう、弟。気を使わせたな…。おう…』

何を話しているのかな?
道明寺はとても穏やかな表情で話をしているんだよ。

暫くして電話を変わった。

『あっ、そうそう、みんなでカニを食べたよ。美味しかったよ。じゃあね』

『うん。進。じゃあね。ありがとう』

あたしの言葉にきっと微笑んでいたに違いないの。

進がここまでの事を短時間で段取りすることが出来るとは思っていなかった。




ここは素泊まり対応の宿泊施設で、食事はこの辺りのレストラン利用し、お風呂は向かいのホテルを利用する。

即時に決めたらしい。

実は弥彦神社で御参りをする前に、家族のみんなで、あたしと道明寺の二人の時間を作ってあげようと相談していたらしいの。
(それはそれで、何か恥ずかしいでしょ?)


「牧野、お前の弟だけどよ。あいつは良い仕事をする良い男になる。俺が保証する」

「嬉しい。自分のことじゃないのに。凄く嬉しい。あんたにそう言って貰えると」

「俺はお世辞とか、ましてや媚びるなんてしねぇからよ」

「うん」

この人の言葉はいつもストレートだ。

だから、あたしの心に真っ直ぐに届いて響かせることが出来るんだ。

「ねぇ、何かね。始めに思ってた旅と違ってた…」

「あぁ…。そうだな」

「あんたも一緒に来てくれて…良かった。ありがとう…」

「だな、俺様を置いて行くとこだったからな」

司はつくしの顔を両手に挟み覗き込む。

「ちょ、ちょっと…。そんなに見ないで…」

「何で?」

「何でって…。その、いろいろ恥ずかしいじゃない…?」

薄明かりの室内。

辺りは静まり返り、波の音が聞こえて来る。


司はつくしの前髪を撫でる。

「泣くな…」

「ウウッ…。何でかな?涙が出てくるの…。道明寺…。道明寺…」

あたしの頭の中はきっと解読不能。
おかしなことになっているに違いない。

普段のあたしなら絶対に思いもしないとこ。

いつも何処かで理性があって、世間体を気にする自分がいた。

道明寺が髪の毛を撫でる度に、頬に涙が伝ってくる。

涙を流しながら、あたしは道明寺の髪の毛を撫でた。

あたしだけが彼の体に触れる事ができる。

あたしだけが…。

例えこれが最後の一夜となっても悔いが残らぬようにしたい。

道明寺は必ずあたしの元に戻ると言ってくれている。
この人は必ず実現する…。

わかっている…。

だけども
もし…


道明寺の全てを受け入れたい…

溶かして一緒になりたい…


道明寺があたしの唇に触れてくる。

優しいキスをくれる。

涙で濡れた頬を撫でながら、何度も何度も角度を変える。

『牧野』と呼ぶ呼び声が『つくし』に変わった。

「つくし…。つくし…」

何度も名前を呼ばれ、背中を撫でられ、そしてキスの雨を降らせてくる。

「道明寺…。つかさ…。司。離さないで。あたしを離さないで…」

きっと、古の神となった人々の想いに触れたせいだ。

例えこれが最後の一夜となっても悔いが残らぬようにしたい。

この一夜が最後になったら…

そうなる事も有り得るんだ…

あたしは肌を合わせる度に弱くなる自分がわかる。

道明寺がいなくなったら、あたしは恋に恋い焦がれて多分枯れていくだろう。


あたしの小さな胸を見て、目を細めて唇を少し開ける仕草。

あたししか見たことのないその表情。




あたしの中にある理性が完全に眠りについた。

あるのは本能だけ。



この人が欲しい…。



二人の視線が交差する。



視線だけでそこに熱が生まれて浮かされそうになる。



全てが欲しい。



「ねぇ」「なぁ」
二人同時に口にする。








今日はそのまま感じていいか

うん

いいのか

うん

素直だな

うん

いつもそうしろ

それは無理かも




言い終わる頃にはふたりは重なりあった
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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