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願い事37

寺泊のアメ横の駐車場の後ろには、防砂林があり、そこを過ぎると一面の砂浜になっている。

コンクリートで砂浜と防風林の境が造られている。

二人はそこに腰を下ろした。

ちょっと寒くなってきたかな?

「道明寺も少し食べてみなよ」

つくしは司の了承を得る前に口元に持っていく。

「何味だ?」

「味噌」

またまた言うけど、ラーメンじゃないからね。

「どう?何か、チーズっぽい味がするよね?」

「だな。後味で味噌の風味が鼻から抜けるな。甘ぇけど、まぁ、これならいけるわ」

「でしょ?ほら、こっちも食べてみて」

あたしが『でしょ?』って言ったら、少し吹き出しそうになってるの。

「醤油か?」

つくしはコクコクと頷き、今度は司の了承を得て口に運ぶ。

「こっちはちょっとシャーベットっぽいよね?塩味も味噌よりも少し強いかな。後味はしっかりと醤油だよね?ねっ?」

そう言いながら、また司の口にジェラートを運ぶ。

「何だよ。牧野、食わねぇの?」

「うんっ?食べるけどさ…」

実を云うとね。
海風が少し当たるでしょ?
身体が冷えてきたのよね…。

欲張って、二個頼んじゃったし…。

ジェラートを掬って口に運ぼうとした時、司が隣からスッと口を開けて、つくしが掬ったジェラートをパクっと食べた。

「ど、道明寺?」

「食ってやるよ」

「えっ?」

つくしが驚いている間に司はスッとコーチコートを脱いでつくしの背に掛けた。

「ちょっと羽織ってろ」

「だ、大丈夫だよ。道明寺が寒くなるよ」

つくしは慌てて司に返そうとする。

「アホ。あん時みてぇに熱でも出たらどうする?」

そう言って、司はパクっとジェラートを口に運んだ。
(勿論?小声で『やっぱ甘ぇ…』と言っている)


あの時って?


つくしは司がどの時の事を言っているのか、瞬時に頭を巡らせた。

「もしかして、高校生の時のコテージでの事を言ってるの?」

司の横顔が少しだけ照れてるように見えた。
それに、苦手な甘い食べ物をつくしの言うとおりに残さないように食べてくれてる。

「大丈夫だよ。あの時はね、プールに入った寒さよりね、緊張から出た熱だからね…」

「…お、おい?」

「こうすると、道明寺もあったかいでしょ?あたしもあったかいし…」

つくしはコートを肩に羽織ったまま、司の背に身体を寄せた。







「ほら、行くぞ」

司は立ち上がって、つくしの手を引く。

「うん」

砂浜が海まで到達するのにかなりの距離がある。
年々砂浜が広くなってきているとか。


「見て、海が凄くキレイ…。穏やかだね」

「あぁ…」

海の向こうに佐渡ヶ島が見える。

海風は冷たく感じるが、太陽がまだ光を放っている為に少しだけ寒さを和らいでくれている。

海岸線を手を繋いで歩く。

「寒くねぇか?」

「ちょっと寒い。あっ、けど、コートは道明寺が着ていてよ?」

「わかったよ。もっと、くっついてろ」

「ププッ。これ以上くっついたら歩きにくいっば」

つくしは司を見上げて笑った。

つくしは司に肩を抱かれ、司のコートの中に囲われるようにして歩いている。






親子連れが海岸を散策している。

今日は太陽の日差しを受けて穏やかで暖かかった。
その太陽が一番高いところから徐々に下り始めてきた。
それと比例して海風が強さを増すように感じられる。
それでも子供達は手を海水にかざしたりしている。


今日は、幼い子供達を見る機会が多かったな…。

それに…。


グスッ


「牧野、また古の神となった人と自分を重ねているんじゃねぇだろうな?」

「うっ…、だって…」



スカイラインを下る途中に妃神を祀る弥彦神社の摂社が建立されていると宮司さんから聞いた。

スカイラインでこの野積地域まで下ることになるので、妃神の祀られている妻戸神社を尋ねようと思った。

道を少し外れた所にあったので、最初は辿り着けないで、野積の地域まで下りてしまった。

地元の人に聞いて再度山へ車を走らせた。

山の中の木々の中にその社はあった。

大きな岩と木々に囲まれていた。

なんだか道明寺をそこに入らせたくなかった。

道明寺は車で待っててもらった。

道路から一歩中に足を踏み入れ、鳥居を潜ると、凄くヒンヤリとしたんだ。


妃神は長い急な石段の先に佇んでいた。



弥彦神社で毎年四月十八日に行われる妃神の為の舞は、幼い稚児たちも一緒に舞うとのこと。

その日は妃神の命日なのだそうだ。
亡くなった母を想い、幼い稚児たちは舞ったのだろうか。


波の音と太陽の光は今も昔も変わらない。


この地で、この波の音を聞きながら太陽が徐々に下りて来るのを、妃神は毎日どんな気持ちで見ていたのだろうか?

そう考えたら、涙が溢れた。

あたしなら、多分気が狂ってしまうんじゃないかと思う。


グスッ


「日本人はね。波打ち際と、沈みゆく太陽に弱いの…」



あたしの言葉は道明寺の暖かい唇に吸い込まれた。




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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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