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リスペクト3

食卓のテーブルに皆が揃う。



午後七時をほんの少し回ったところ。
何時もと同じディナーの終盤。
ここは、国会議事堂の広さ程もある大きな屋敷。
(もはや、個人の家と云うよりは建造物。地方から来た人は写真を撮っているとか、いないとか)
その中にある、これまた十メートル以上はある食卓テーブル。
そのテーブルを挟んで、渋さが冴えるナイスミドルな男性は、目の前にいる愛らしい美少女に目を向けた。
だが、その眼差しは決して、優しいものだけては無い。
そして、その視線を受けている美少女は、決して動揺したり等はしない。
むしろ、受けて立ってやると云わんばかりに、少し口角を上げて、微笑んだ。


って、何だよ?

なんでこうなるんだ?


話を切り出したのは妹。
「少しだけダンスの練習をしてからでいいでしょ?もう、お仕事無いんでしょ?」

上目遣いで見ている。

これにかなり弱いんだよな…。
さて、どう返すか?

「いや、まだ少しかかるんだよ。九時まではかかるかも知れないからな。大事な書類なんだ」
困ったと云わんばかりの顔で見返す。

おっ!さすがに"本物"に会えるからか、デレッとしないな…

「本当に?パパの書斎の前を通ったときに、『終わったーー!』って、叫んでいたのを聞いたんだけど」
少し口角と眉を上げる。

うわ~っ、目の前にいる親父と同じ表情をしてやがる。
言ったら、怒るだろうな…

「それは、やっと一つやり終えたという所だったんだ」
平然と言い返す。
「ふ~ん、苦しい言い訳」
「お前こそ、何時は、『お風呂上がりの方が、柔軟性がいいから~』とか、言っているだろうが。先に入っていいぞ」
「明日は、『パパと入ろうな』って言ってたのを、あたしはハッキリと聞いているのよ!」
「それは、あくまでも希望を述べただけだ!急に仕事が入ったから、仕方ないだろうが!」

親父と妹は、長いテーブルを挟んで、お互いに目と目をガッチリと絡ませ、反らした方が負けと云わんばかりだ。

「誰でも良いんだけど…」

そうだ!
弟よ、どちらかを誘って、早くにこの場を立ち去 れーー!

「何よ、それ?!どっちが良いのかキチンと選びなさいよ!」
「その通りだ。どちらかをお前が選べ…」

スゲー、圧力かけてんな。
身を乗り出してまで、言う事か?
二人とも眉間に皺が寄ってんぞ。
あの剣幕を他人が受けたら…

間違いなく、凍るな…

(使用人たちの、先程までの安堵感は今はない。父と娘の戦いをハラハラしながら見守っている)

「だって…。え~、どちらかを何て…、選べないよ…」

泣きそうな顔をして、二人に訴える幼稚園児の弟。
多分だが、これは演技だ。

「それでも、道明寺家の男か?」
「そうよ!そうよ!男なら、はっきりしなさいよ!」

何だか、ヤバい気がする…

黒毛和牛のステーキの最後の一切れを、口に運び入れる。
今日のソースは俺の大好きなヴァン・ルージュソースなんだ。(多目のバターが決めてなんだな。あっ?!いいだろ?あえて、バターを入れんんだよ!)
二、三回咀嚼すると、素早く喉に咀嚼物を通し、目の前にあるミネラルウォーターのグラスに手を伸ばした。
誰にも目を合わせないように、この場を去ろうと、椅子を少し後ろに下げようと、モーションを起こしかけた。

「どうしたの?カイお兄様?何だか、慌てて召し上がって…」

ちっ…、俺の大好きなソースって、知ってるからな…。
急いで食べたのが、ばれたか?

それより、何だ?
カイお兄様?

完全に自分が、優位に立っているとでも言いたげだな?

「んだよ。お兄様なんて、普段言わねぇ言い方すんな」
俺の言葉に小さく舌を出した。

そして、
「よくよく考えたら、お兄ちゃんが良いんじゃない?」
何時もの呼び名で言い返してきた。

なぬっ?!
やはり、恐れていたことが…

「おっ!そうだな!それがいい」

子供より、自分が最優先かよ、親父は…
何処がいいんだよ…

「誰でも良いんだけど…」

弟よ!はっきりしろ!
俺は良くないぞ…
てか、一人で入れば、誰かが見張りに来るだろぅが…

ディナーの中盤に鳴った電話のおかげで、雰囲気が変わったのだ。

帰って来るなら、もっと遅い時間にすればいいものを…

中途半端な時間に、帰って来るんじゃねぇよ。
俺が、とばっちりを受けるのを分かってねぇな…
たくっ…

「三人で、一緒に入ったら良いんじゃないんですか~?」
完全な投げ遣りな言い方をする。

くだらねぇ…
早く、切り上げてぇ…

「お兄ちゃん、あたしは四月から四年生になったのよ?」
母親譲りの大きな瞳を、更に大きくして、身振り手振りの、大袈裟なジェスチャーで訴えてくる妹。

「これは、道明寺家のルールだ。曲げる訳にはいかねぇな…」
威圧感たっぷりと、低いアルトテノールの声を更に絞り出すように話し、鋭い目付きでこちらを見ている親父。

「ママがね、お留守の間は、誰かとお風呂に入って、いい子にしていてねって、言ってたんだよ」
何でか、得意気な顔をして、俺に挑戦的な顔をしてくる幼稚園児の弟。

年長になってから、一人でも入れるようになったんだぜ~。って、得意気に言ってただろうが!

俺は、一人でゆっくとしたいわけ!

自室で!!

あのな、学校生活も色々と疲れんだよ。

まとわりつく群衆たち。

でも、家族の相手が一番疲れるって…

どいつも、こいつも、自分の事が優先だな…

ここで俺が折れなかったら、この押し問答が続くのだろうか?

嫌だ…

…嫌すぎる。

何を揉めてるか?

お風呂の順番だよ!順番!

何で揉めれるかって、思うわ!




俺が犠牲になれば済む話しなんだ…



早くに、一人になりてぇ…

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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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