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願い事28

弥彦神社は弥彦山の麓に創建されている。

境内は樹齢400年から500年の老杉や子古欅に囲まれていて、鬱蒼としている。

それだけで荘厳な雰囲気を醸し出している。

つくしたちは弥彦公園を後にして、その足で温泉街を歩きながら、弥彦神社の一ノ門の前に来た。

司は鳥居の前で斜め左方向を見て軽く一礼をする。

「ここで、お辞儀するの?」

「神仏の建造物に入る時の礼儀だ」

「へぇ…。知らなかった」

つくしも慌てて頭を下げる。

二人揃って鳥居を潜った。

「ガキの頃に武術を習っていただろ。そのときの所作の一つとして一通り習っているからな」

「ふ~ん」

「何だよ」

「別に。道明寺って、神は信じないとか、何だかんだ言っても、ちゃんとしてんだってさ」

「俺は神と呼ばれれても最初は所詮は人だったと思っているからよ。
キリストにしても、釈迦にしてもだ。
ただ、偉業を成し得え、人々を率いて群衆の心を掴んだという事実に関しては俺もすげぇと思っている。
俺は神に祈って恩恵を授かりたいとは思わねぇ。自分の想いを誓い、自分を律するために拝礼する」

つくしはなんとも司らしい解釈だと思った。

司の顔を見上げて彼の目を見た。

自分で運命を切り開いて行こうとする強い意思が感じられる。

繋いでいる彼の手のひらから伝わってくる熱や想いを逃がさないように、つくしはしっかりと手を繋いだ。



鳥居を潜るとそこの空気がピンと張っていて、澄んでいるようだった。

石畳の参道を神殿に向かって歩く。

歩いてすぐのところに石橋があり、弥彦山からの清流の小川がある。
玉の橋と呼ばれている神様が通る橋が掛けられている。
人は通ってはいけないとされ、橋は紅く、遠目からみても神秘的な雰囲気が漂っていた。


「少し風が変わった?」

つくしは自分の身体に風が舞っているような感覚を覚えた。

何だろう?
自分の周りをつむじ風が螺旋状に吹いているようなそんな感じ。

公園も木々に囲まれていたのに空気が先ほどとはまるで違う。


厳粛で壮観。


人々はこの空気感を感じとり、自分の雑念や邪念を払い、清めたいと願うのかもしれない。



石畳の参道の両脇は屋根付きの簡素だが、綺麗に組まれた柱だけの小屋が拝殿まで立ち並んでいた。

つくしはその建物を見るのに立ち止まる。

「何かの催しものがあるのかな?」
つくしがボソッと呟く。

「来週から11月らっけね。菊まつりがあって、準備しているんだこて」

「ひゃぁっ、おばあちゃん?!」
「うおっ?!」

突然の祖母の澄えの登場に相変わらず仰け反りそうになる二人。



「さっきから何二人して見つめ合ってるや?」

「ふはっ?えっ?おばあちゃん、いつの間に…」

気付けば、おばあちゃんはあたしと道明寺の真下にいて、こっちを見上げている。

「ずっと思っていたんだけどよ…。牧野の婆さん、たまみてぇだな…」
道明寺はまだ仰け反っている。

「タマ?おらは猫じゃねぇろ?!」

道明寺の言葉を聞いて、少しプンプンしてパパたちの所まで行き道明寺に言われた事を話している。
(競歩みたいな、早歩きでササッーと歩いたよ?!)

人の名前だと言われたみたいで、おばあちゃんは少し口を尖らせている。

「ほら、お前も照れ隠しする時にああいう表情するんだ」

道明寺が片方の眉を上げて口角を少し上げた。

「もうっ」

そう言って道明寺の背中に手を添えるように軽く叩く。

道明寺が声を出して笑った。



11月に入ると、1日から24日まで奉納や品評会のための菊が境内に立ち並ぶ。
境内には一本の幹から千輪近くもの菊を咲かせ、円形状に咲かせたものや、小菊の盆栽や円錐形に咲かせたものなど、約四千点が出品されるのだ。

来週から菊まつりが催されるためのその準備がされているとのことだった。

ほんの少しだが、すでに並べられている菊もあった。

そこで写真を撮る着物を着ている幼子たち。




「道明寺見て。みんな幸せそうだね」

七五三の着物を着た子供とその家族と思われる集団があちらこちらで見られるのだ。
みんな笑顔で幸せに満ち溢れている。


「菊祭りになっと混むからなぁ、10月にお詣りに来る家族も多いんじゃないかなぁ?」
「そうなんだろっかね」

パパとおばあちゃんの会話が聞こえる。



「知ってるか?神仏を奉る境内で人の祝い事に出合う事は縁起が良いらしいぞ。"幸せのお裾分け"とか言ってたな」


道明寺がそう教えてくれた。


本当だね。


周りの人の幸せのパワーで空気があったかいもんね。


ふふっ


『幸せのお裾分け』か。



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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

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ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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