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願い事25

「この道を真っ直ぐ行くと大鳥居があるんだよ」

「あれか?」

「そうそう。あの鳥居」

弥彦神社を目指し、弥彦山の御神廟を仰ぐ道に建立している高さ30mはある大鳥居だ。

天気が凄くいいから、空の蒼さと山の木々の秋色のコントラストが太陽の光で映えている。

大鳥居の向こうに弥彦山を仰ぎ見ると、木々の一本一本で山を作り上げているのがわかるほど。

「山の上の方から色づいてくるんだね」

「本当だな。それに、あそこの山以外は平野か」

主要道路は商業化しており、スーパーや飲食店、小売店舗などが立ち並んでいて、その回りに新しい団地が出来ているが、少し道を外れると一面の田んぼ。

今は全て刈り取られている。
(当たり前だが、稲の刈り取りは9月に行う。もう11月になろうとしているのだから稲はない)

草が少し伸びて緑と黄色の何とも秋らしい配色が広がっている。

この車にはあたしと道明寺の二人だけ。

みんなはSPさんの警護車に分乗している。

叔父さんはパンを届けると、従弟の幹斗くんの学校の部活のサッカーの試合があるからと帰って行った。

従妹の心陽ちゃんはチアリーダーに所属していて、今日は長岡まで行くのだそう。
叔母さんはその付き添いで一緒に出掛けている。

昨日叔母さんは帰るときに、一緒に弥彦の観光をしたかったと悔しがっていた。
道明寺にまた遊びに来て下さいよと、何度も何度も承諾させていた。

「道明寺、ありがとうね。おばあちゃんにも声かけてくれて。ちょっと素直じゃないとこあるから直ぐにうんと言わないのよ」

「お前みてぇだな?」

運転席に座る道明寺を軽く睨む。

今朝、出掛ける寸前までおばあちゃんは、歩くのが辛いからと言って一緒に来るのを渋った。

『まぁ、ばあさんがいるといろいろと邪魔されているからな。良いんじゃねぇの?』
わざとなのか、おばあちゃんに聞こえるように道明寺があたしに言ってきたんだ。

そしたら、おばあちゃんが、
『ふんねまぁ、神様がいるところでもチュッチュッ、チュッチュッするつもりなんだかや?危ねぇから行かんばら』
そう言って、物凄い早さでお出掛けスタイルに着替えてきたんだ。

道明寺はそれを見て、ニヤリとしていたんだ。



「誰もこの車に乗ってねぇからいいだろ?」

そう言うなりあたしに手を伸ばしてきた。

あたしは手を繋ぎやすいように道明寺に向かって手を差し出す。

「おっ?!ばあさんと違って素直だな」

クッククッ

道明寺が笑っている。

そう、道明寺が言うように最近は素直になれてきた。

会える時はなるべく喧嘩しないようにしているの。
たって、笑った顔を見ていたいじゃない?


この人の横顔が好き。

大好き。

鼻筋が通っていて、そこからの唇のラインが綺麗で。

ずっとこうしてこの人の横顔を見ていられたら…。

大好きな横顔を見ながら、ずっとこうして見ていることは出来ないんだ。
そう思ったら目の前が凄くキラキラしてきた。

きっと太陽の光が強いせいだ…。

思わずそっと窓の方を見る。

握っていた手をグッと引かれて道明寺の肩に凭れた形になった。

あたしの髪をクシャっとかき混ぜる。

「や、やめてよ…」

「お前が笑ったらな…」

「そういう事を言わないでよ…」

グズッ
ズビッ

「あと1日、ずっと一緒にいられる。俺は嬉しくて仕方がねぇ」

チラッとあたしの方を見て、笑いかけてくる。

道明寺の笑った顔がキラキラして見える。

あぁ、あたしってダメだ…。

今日1日笑って過ごさなきゃでしょ?

あたしが、そっと目頭を押さえていると、道明寺は握っている手をしっかりと繋ぎ直してきた。

「目の周りがパンダみてぇになるぞ?」

「…もう」

そう言って道明寺のクルクルの髪の毛をほんの少しかき混ぜた。






パパとおばあちゃんを乗せた警護車は弥彦神社と書かれた標識とは反対側にウインカーを出した。

「どうしたんだろね?」

「さあな。付いて行くしかねぇだろ?」

着いた所は弥彦駅の目の前で、警護車はそこに隣接してある駐車場に入って行った。

駅は神社を思わせる造りになっている。

周りに植えられている紅葉が綺麗に紅葉していて秋らしい風情になっている。

あたしたちも駐車を済ませると、パパたちと合流した。

「道明寺さん、折角弥彦に来たので、この公園を抜けて、神社までゆっくりと行きましょう。まだ少し早いですが、紅葉が綺麗ですから」

パパが言ったあとで、おばあちゃんが
「あんま、人前でチュッチュッすんなよ?おらたちは先に歩くっけ、あとから来いてば」

そう言って、杖を付いてさっさと公園の中に歩いて行った。

「良いわね~。二人でゆっくりと森林浴デート。ねっ?」

ママは軽くウィンクをして、進はあたしたちに手を大きく振っておばあちゃんの横に走って行った。




「道明寺、すっごい庶民デートだけど…」

「あぁ、お前が一番してみたいデートだろ?」

「うん…」

「アホ…、目の周りがパンダになるだろうが…」

優しく笑いながら道明寺が涙を拭き取ってくれる。



そう言っている道明寺の瞳も少しキラキラしている気がした。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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