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願い事23

朝か…。

ゆっくりと瞬きをして、大きく息を吸い込んだ。

畳の匂いと、両サイドからの寝息と寝言。

太陽がまだ完全に顔を出しきってないからだろうか。
障子窓越しだということもあり、辺りはまだ薄暗い。

天井は…。

牧野家なのに高けぇんだよな。
(仏間から続くこの居間は、天井が高く造られており、今までの牧野家のような圧迫感は全くない。ここも牧野家なのにな)

ククッ

改めて、今置かれている状況が可笑しくて仕方ねぇ。

俺の両サイドに牧野の親父さんと、弟の進だぜ?
折角だから、俺を挟んで寝るとか言い出した。
俺にしてはやんわりと断ってんのに、気付かねぇとか、さすが牧野の家族だと思ったわ。

何て言ったか?

『いつも独りで寝るし、幼い時も独りで寝た。だから、大勢はちょっと…』
だったか?

牧野の親父さんと弟は、俺の言葉に顔を見合せ、
『折角だから、川の字にしよう』
『そうだね。少し寒くなったから、人の暖さが感じられていいよね』
そう言って、俺を真ん中にした。

人の話をまるで聞かねぇ。


でも、全く嫌じゃねぇんだ…。


それに、他人の家なのに眠れた…。


自分でも驚く…。






「おはよう。道明寺」

斎藤たちから、昨夜は何事も変わったことはなかったと報告を受けていると、牧野が隣の部屋から出てきた。

昨日、牧野は俺が眠った部屋の隣の部屋でお袋さんと寝たんだ。

「おぅ。はよう。早いな」
俺が返すと、

「うん、そうだね。何か目が覚めちゃった」
そう言って笑いかけてくる。

斎藤らとも挨拶を交わし、SPたちの労を労っている。

こんな何ともないような事なのに、俺は今、無性に嬉しくて仕方がねぇのと、牧野を思いっきり抱きしめたくて仕方がねぇ。

「道明寺はちゃんと眠れた?」
心配そうに聞いてくるのは、俺が知らない所では眠れないのを知っているからか。

「車の運転での疲れと、酒の力がなけりゃ、多分眠れねぇな…」

俺がそう言うと、凄く優しい顔で俺を見て微笑む。

「ふふっ、そうだね。良かった…」

言い終わらないうちに、牧野の腕を掴み、そっと引き寄せた。

腕の中に仕舞うと、ますます愛しさが込み上げてくる。

「道明寺…。パパのイビキがうるさくなかった?」
俺の腰辺りを優しく擦りながら聞いてくる。
「進、たまに歯ぎしりするのよ?」

「気にならなかったぞ」

俺がそう返したら、牧野は本当に嬉しそうに俺の顔を見て、
「良かった…。ありがとう…」
と言ってくる。

変なヤツだ。

でも、可愛くて可愛くて仕方ねぇ…。

そっと、牧野の前髪を分ける。

「寝癖付いてる?」

「あぁ、すげぇ変になってる」

俺の言葉に少し頬を膨らませて、笑っている。

優しくしたい。
包み込んでいたい。

そんな風に思うのが愛しさってことなんか?

だとしたら、溢れ出ているに違いねぇ。

俺がおでこに触れる度に、牧野がそっと目を瞑り、気持ち良さそうな顔をしている。

猫みてぇ…。

ずっと触っていても飽きねぇな…。


うん?

何で熱い視線が??

送られて来るはずもない位置からの視線に気付き、思わずその方向に目を向けて見ると、つぶらな瞳とがっちりと視線が合った。

牧野の背中から婆さんがひょっこりと顔を出してこっちを見てんじゃねぇか?!!

「うおぅぅう??!!」

ば、婆さん…。

いつからそこに?

牧野の顔も瞬時に真っ赤に染まり、婆さんを見て、仰け反っている。

「おはようさん。朝っぱらから何してるや?ふんねまぁ、暇さえあれば、チュッチュッ、チュッチュッと。いかったてば、部屋こと別けておいて」

な、何?
何て言った?

「本当に、部屋を別けておいて良かったってさ…」

真っ赤な顔をして、モジモジしながら通訳を入れる牧野。
(最後は消え入りそうになってた)

チュッチュッ、チュッチュッはあれか?
でもよ、婆さん!
"今日は" まだ、してねぇよ!!


昨日の夜、牧野が風呂から上がった頃にキャリーたちが、
『言い付け通りにお布団をお敷きしました』なんて言ってくるからよ…。

布団が二組敷いてある部屋があるだろ。
当然だが、俺と牧野がその部屋で寝ると思うだろ?

勿論、牧野もそう思ってたと思う。

なぜかって?

『えっ?ちょっ、ちょっと…。良いの?イヤイヤまだダメでしょ?』
って、その部屋の前で大声で喚いていたからよ。
(モジモジして可愛いかった)

そしたら、牧野の婆さんが来て、
『結婚もしてねぇのに、一緒の部屋に泊まらせられっか!』
とか言いながら、俺を仏間の隣の部屋に通したんだ。

まぁ、しゃねぇけど…。




婆さんが、牧野と朝ごはんの相談をし始めた所で電話が鳴った。

婆さんは腰を曲げているにも関わらず、恐ろしい位の早足で電話を取りに行った。



暫くして、牧野のお袋さんも起き出し、婆さんと味噌汁を作り始めた。
勿論、牧野も一緒に作っている。

牧野は時折婆さんやお袋さんの目を盗んでは俺の方を向いて微笑みかけてくる。

俺はその姿を見て、何でか優しい穏やかな気持ちになった。
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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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