FC2ブログ

記事一覧

願い事13

ここら辺は昔ながらの集落。
何軒かの家々が道路沿いに立ち並んでいる。

その家々の中でも、割と立派な石門が建てられている家の前に来た。

つくしは思わずその光景を見て、
「懐かしぃな…」
そう呟いた。

大きな松の木が植えてあるのが、平垣の外からでも分かる。

つくしの言葉に司は首を捻った。

「う~ん…」

つくしは今、数年前の頭の中の地図と現実のギャップを埋めようと懸命になっている。

「…もうちょっと、先に行った方が良かったかなぁ…。ブツブツ…」
そんなんで、つくしは司が相当腑に落ちないという表情をしているとは気付かずに、辺りをキョロキョロしている。

「あっ、もう少し先で停めて…」

「おい、牧野…。本当にここか?」

司は非常に疑る声色を出して尋ねているが、つくしには届いていないようだ。

つくしの頭の中には昔よく見た風景が流れ込んできていて、懐かしさに感情的になっている。

「あぁぁ!そう、ここよここ。あぁ~、ナツカシイ…。後で、おばあちゃんにきちんと確認するからさ…」

庭の横を過ぎると空きスペースがあり、そこに車を停める。

「本当に、この空き地に停めていいのか?」

「うん、多分。叔父さんたちも集まるとここに停めていたからね。田舎は邪魔になんなきゃ良いんだって、おばあちゃんはいつも言ってたよ」

司が疑って聞いているなどと思いもしてないつくしは、朗らかに答える。

つくしたちの車が到着すると、SPの警護車が空き地に入って来た。

つくしは、司の前を揚々と歩く。

先程の立派な石門のある家の前に来た。
その門から中へ入ろうとするつくしに、司は思わず手を伸ばして制した。

「ちょっ、ちょっと…。なぁ、牧野…」

「何?」

「いや…、さっきも不思議に思ったんだけどよ…。おい、本当にここでいいのか?隣も牧野だぞ。隣の家と間違えてねぇか?」
司は辺りをキョロキョロする。
(隣の家は、この家よりも小さめで、庭も勿論狭い)

立派な石門を抜けると、大きな松の木がありちょっとした庭園になっていて玄関まで少し距離があるのだ。
庭も綺麗に手入れされていて、ツツジの木がきれいな曲線で刈り込まれている。

つくしは、司の云わんとする事を察知して、笑いを堪えながら説明を始めた。

「ププッ…。あ~、ここはあたしたちの家でなくて、おばあちゃんの家だからね?隣は遠い親戚の家なんだって…。プップッ」

「後で、不法侵入とか言われねぇだろうな?」

つくしは司の到底信じられないと云わんばかりの表情に、笑いを堪える事が出来ずに、ケラケラ笑いながら玄関の戸を開けた。

旅館のような玄関口。
道路より一段高くなっている。

広さもあり、玄関だけで畳3畳分はあると思われる。

「着いたよ~。ほら、道明寺…」

司を見上げるつくしは、ますます笑いが止まらない。

「あはっ、ちょっと、ププッ…凄い警戒している顔しているんだけど…」

ケラケラ笑いだす。

「「つくし、お帰り~」」
と、先ほどまで一緒に行動してい晴男と千恵子の声。

「ただいま~。お邪魔しま~す」
つくしは靴を脱いで揃える。

「ねぇ、つくし~、おばあちゃんにあった?家にいないのよね」
と、家の中から千恵子の声がする。

フッと、顔をあげると自転車で通りすぎるおばあさんの姿が見えた。

背中をピンと伸ばして颯爽と自転車を走らせている。

「おばあちゃん、畑に行ってたんじゃない?今、自転車に乗って目の前を通りすぎたよ。あの姿、おばあちゃんだと思うけど。自転車停めて来るんじゃないの?」

そう言いながら、つくしは廊下を歩き始める。
廊下も広く幅が2メートルはある。

なかなか靴を脱がない司につくしが声を掛ける。

「道明寺も上がってよ。って、あたしの家じゃないけどさ」
その言葉に、益々訝しい顔をする司。

そそくさと靴を脱ぎ、つくしの後に続く。

広い廊下の先。
そこは仏間となっていて、金で加工してある大きな仏壇がある。
(畳2畳分もある立派な仏壇なの!見た瞬間に道明寺はますます訝しい顔をした!!)

仏間の戸の緣には先祖代々の遺影が掛けられている。

中に割と新しい遺影がある。

司がその遺影見ていると、
「その人、おじいちゃん。あたしが小学5年の時に亡くなったんだ…」
つくしが遺影を見てポツリと話した。

その顔は丸顔というよりは四角で、口を真一文字に結んでいる写真。
(晴男を凛々しくした顔をしている)

仄かに蝋燭の消した匂いがする。
先に家に上がっていた晴男たちが灯したのだろう。
つくしはマッチで蝋燭に火を灯し、線香に火を移す。
線香からはゆらゆらと煙が上がっっていく。

つくしが静かにお参りする姿を司は静かに見つめた。

「俺もこの仏間に上がらせて貰っていいか?」

その言葉につくしは目を細めて、ゆっくりと頷いた。

「道明寺…。ありがとう…」

「おう…、直接報告させてもらうわ」

そう言うと司は、つくしの隣にスッと座り目を瞑った。

つくしはその様子を隣で見つめ、司が手を合わせると、つくしもまた司に合わせるように手を合わせた。








居間に顔を出すと両親はテレビを付け、寛いでいる。

「おばあちゃん、遅いのよね?ねぇ。パパ?」
千恵子が少しだけ不安そうに言った。

晴男はその不安を打ち消すように、明るく話す。
「そのうちに来るだろ?さぁ、道明寺さんも座って下さいよ。わたしの家なんで、遠慮しないで下さい」

晴男の言葉に、司の片眉がスッと上がる。

つくしは、おかしくて吹き出しそうなのを必死で堪える。

「クププッ…、さぁ、座って、座って」
と千恵子は笑いを堪えながら、お茶を出そうと立ち上がる。

つくしは千恵子と目を合わせて、二人同時に吹き出す。

「何?何?どうしたんだ?」

晴男の慌てぶりに牧野家の一同は大笑いし、司は、完ぺきに眉間に皺を寄せた。



「はぁ~~、笑ったわ…。ねぇ?あっ、そうそう。SPさんたちは?」
つくしは司に問いかけた。

「今、辺りの地形等を見ているんだろ?表と裏口に交代で警護に当たると思うぞ。って、オイ、それは、止めさせれねぇかんな?」

「ハイハイ。わかりました」
そう返事を返す。



ウゥー


ウゥゥゥー


「あれ?パトカーのサイレンの音かな?ここらじゃ珍しいな」
晴男が呟く。





パトカーのサイレンの音が近くなる。

道明寺はサイレンの近づく音と比例するように顔をしかめさせている。

そんな顔しなくても…

てっ、

あれっ?

家の前で停まった?

んんっ?

何だか、玄関が騒がしいけど?!


みんなが慌てて、玄関に出る。


そこにはSPの斎藤さんが警官に両脇を押さえ込まれている姿があった。


「ま、牧野…。警官が来てんじゃねぇかよ」


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




PVアクセスランキング にほんブログ村