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願い事11

車は弥彦山の方角。東を目指す。
目的のラーメン店はインターチェンジを下りて、車で5分ほど。
商業施設が立ち並ぶ大通りを抜け、住宅街に入ったところの一角にある。

新潟に来る度に牧野家が訪れているラーメン店だ。

「これから行くところは、僕が高校の時から通っているんだよ」

三条市はカレーラーメン。
燕市は魚介背油ラーメン。
長岡市は生姜醤油ラーメン。
新潟中央区のあっさり醤油。
新潟西蒲区のこってり味噌。
新潟のラーメンはその地域によって特徴があるのだ。
(あくまでも、一般的に云われているくくりですので。勿論、豚骨、塩などの美味しいお店もありますよ~ん)


「道明寺さん、そこのカーブをそのまま走って…。あぁ、ほら、車がたくさん駐車してある。あそこだよ。すまんねぇ」

晴男はインターを降りてからこのラーメン店まで、司の斜め後ろから口頭でナビをしていたのだ。


「相変わらず、混んでるね~。お店、新しくなったんだね?」

昔の店舗しか知らないつくしは、思わず声に出した。

店の暖簾の前にはまだ、席に座われない客が立って待っている。

都会のラーメン店と違い、敷地面積も広く、1階のカウンターが10席ほど。御上がりのテーブルが6テーブル。
更に2階にもスペースがあり、10テーブルが用意されている。


「並ぶのかよ…」
「いいでしょ~~?食べる楽しみが増えるってものよ。あぁ~~いい匂い!久しぶりだーーー!!この匂い」

煮干しと熱した胡麻油のコラボレーションはつくしの記憶と食欲中枢を揺り動かしていた。

牧野家は店の中で待っていると言って中に入った。

つくしは天気も良いからと外で待つことにした。
(道明寺が仁王立ちに立って、まだか、まだかと言ってきたら大変でしょう?)
二人の前後にSPが付く。

「あれっ?SPさん達は?」
キョロキョロするつくし。

「あっ?いるじゃねぇか?」

「2人だけじゃん。斎藤さんは?」
「はぁ?斎藤って…、アイツと食べたいのか?!」

つくしは司の言葉に眉根を寄せる。
「そうよ!」

「なっ?!お前、ま、まさか…」
顔面蒼白の司。

「はぁ?まさかもまさかよ!一緒に旅をして来たんでしょ?」
「一緒に旅ってな…。コイツらは警護だろうが?」

司の言葉につくしの心は一気に沈んだ。

「じゃあさ、ご飯はどうするの?いつ食べるのよ?」
司に思ったことをそのまま尋ねる。

「そ、それは…。俺に聞くな!」

そ、そんな…。
そんな事ってある?

「お二人は、一緒に食べれるのですよね?」

つくしの問に、SP二人は一瞬目を合わせた。それから、つくしに向かって断りを入れる。
「牧野様、我々は警護ですので。勤務中ですし、この時間に交代で取ろうかと…」


極々当たり前の事なんだよね?

道明寺もSPさんたちも…。

だけど、だけどさ…


「道明寺から一緒に食べようって言ってよ…」
「コイツらは警護だろう?」


そうだけどさ…

だけど、やっぱりこんなの嫌だよ…。


「コイツらは仕事だって。おいっ、牧野?!」

司が云うか早いか、道路向かいの駐車場で待機している斎藤らにつくしが駆け寄る。

つくしが駆け寄って来たために、斎藤ら二人は慌てて車から降りる。

「牧野様、どうされましたか?」
「今すぐ、車から降りて。一緒にラーメン食べましょ?」

その言葉に、目を大きく見開く。

「牧野様、警護中に一緒に食事等を取るなど、滅相もありません」
丁寧に断りを入れる。

「でも、お腹が空いていたら、力が出ないでしょ?」
「牧野様、あまりに満腹感を得ると動作が鈍りますし、判断力に欠けることになりかねませんので…」

追いかけてきた司がつくしを連れ戻そうと、つくしの手を取った。

「牧野…。SPの仕事があるんだ。斎藤の言っていることは至極当然の事だ」

つくしは、司の瞳をじっと見つめる。
そして、静かに話した。

「どうしてもダメなの?」

「ま、牧野様…」

「みんなで、食べるから美味しいんだよ。あたしはみんなと楽しく旅をしてるって思ってる。一緒の場所で食べていれば警護にもなるじゃない?それじゃあ、ダメなの?」

「牧野…、だから…」

つくしは司の目を見る。
そして、掴んでいる司の手に自身の手を重ねた。

わかってる…。

道明寺がどんな立場の人間なのかも…。

でも、でも、普通の旅をしたいんだよ…。

「あたしの我が儘だってわかってる。それでも道明寺と…、みんなと…、楽しい旅が出来たら。って思ってるの…」

つくしの言葉に司は頭を掻きむしる。

「あぁ…、今回の旅の最中だけだぞ!いいか?!お前ら…」


つくしは司の言葉を待たずに、
「道明寺?!ありがとう…。凄く嬉しい…」

つくしはそう呟いて、司のジャケットの裾を掴んだ。








「カウンターとテーブルで別かれますが、いいですか?」
お店のお姉さんの言葉。

「あたしはもやしラーメン。あんたは、中華にしとくね。ママ~、決まったよ」

白い直径30cmの大きなどんぶりに運ばれてくる魚介背油ラーメン。

洋食器や金物の工場に働く労働者に出前するために作られたラーメン。
労働者のために濃い目で背油で表面を冷めにくくしている。
麺は伸びにくくするために極太。
初めて見た人々は"うどん"だと云う。

このお店はその背油系のお店の中でも割とまろやかで、スープも飲みやすい。

母の千恵子はつくしの言葉を聞いてから店員のお姉さんに注文する。

「もやし中華2つと、特性中華1つと、中華大盛1つと、中華5つ。あっ、あとギョウザ2つ。あっちとこっちに。ねぎと岩のりを別皿で2つ。あっちとこっちに」
(大盛はパパ)


「カウンターだと、調理してるとこ見れるだな?」
「新鮮でしょ?」
司を見て微笑む。

「あたしも新鮮だよ…」
「そうなんか?」

「あんたとこうして普通のデート出来ることがさ…」

その言葉に司は、驚くように瞳を開き、そして、目を細める。

「あっ?デートじゃないか?まっ、いいよね?あっ、ほら、見てみて。あれ、特性中華のあんかけだよ。筍たくさん入ってるもん。
ほら、次はもやしを炒め始めたよ。美味しそう~~」

クックックックッ

「本当に美味しそうに見てんな?」

「本当に美味しいの」

つくしは司を見て、頬を膨らませる。

「クックッ…。わかったよ。にしても、何だかスゲー量だな?」
「1人1袋分は入っているよね?」
「1袋?」
「あっ、わかんないね?いいよ。あっ!ギョウザ焼けたよ。凄~~いあの鉄板」

はしゃぐつくしを司は、頬杖をついて目を細めて見る。



カウンターに座る二人は見つめ合ったり、笑ったりしている。

その様子をテーブル席で座っている牧野家とSPたちが見守る。

「こうして見ると普通のカップルよね…」
「つくしが寝ている時に言ってたもんな…」

「そうね…。付き合って長いけど、普通に車で遠出して、アイツが喜ぶような普通のデートってしたことなかったから、いい機会かなと思っているんです。ってね。つくしが聞いたら、泣いて喜ぶのにね?」

その言葉に牧野家と向かい合って座っているSPの面々が目頭を押さえる。

晴男と千恵子が顔を合わせて微笑む。

「みんな、ウブで可愛いわ~」






「ちょっと、こんなとこで手を握らないでよ…。バカっ、そんなとこ触るな」

カウンターでは、司がつくしの内股を撫でたり、手を撫でたりするのを必死でかわしていた。








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プロフィール

えりりん

Author:えりりん
ようこそ、おいでくださいました。

ここは、「花より男子」の二次小説置き場です。

つくしと司のその後の未来を、勝手に妄想して、こんなだったら……♥️

等と、妄想に妄想を重ねたブログです。

よろしければ、覗いて見てくださいませ。

ただし、素人の勝手な思い込みで書いております。

皆様のお考えと異なる事があるかと思われますが、ご了承くださいませ。

原作様の神尾様には、素敵な作品をこの世に送り出して頂いて、本当にありがたく思っています。

えりりんの妄想で少しでも楽しんで頂けたらなと思っております。



出版社様、原作様とは、一切関係はありません。




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